小結阿炎(29=錣山)が、2日連続で大関を撃破した。

大関貴景勝に、得意のもろ手突きの立ち合いから一気に押し込んだ。リーチの長さで勝る自身に対し、距離を詰めて下から押したい相手が前に出てくると、タイミング良くいなした。最後は左足だけ残してバランスを取りながら、左手で上手、右手で相手の頭を押さえ付けながら上手投げ。絶妙なバランス感覚で上手投げで仕留めた。初日の霧島に続き、大関相手に白星。関脇、小結合計で11場所目だが、三役として初日、2日目を連勝発進するのは初と、かつてない好スタートとなった。

取組後は「しっかり集中して相撲を取れたと思います」と、堂々と話した。最後は互いにもつれる形となったが、残っていた感覚があったか問われると「はい。しっかり上がっている方の足をつけないようにしていたので、残っている自信はありました」と話し、冷静に取っていたことを明かした。2日間を終えて「しっかり1日1番をモットーに、できているかなと思っています」と、手応えは十分だ。

昨年12月に、入門時の師匠だった先代錣山親方(元関脇寺尾)が亡くなった。1月の初場所では、師匠代行として指導していた当時部屋付きの元小結豊真将の立田川親方が、同場所後に正式に「錣山」名跡を襲名。「新生錣山部屋」所属として最初の場所を好発進した。「相撲は先代からも、今の師匠からも教えてもらったもの。変わらず、自分の相撲を取ろうと思っています」。心身充実の今場所、優勝経験もある実力者が、一段と勢いに乗りそうな気配を漂わせている。

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