横綱大の里(25=二所ノ関)は、2場所ぶり5度目の優勝がお預けの格好となった。
この日対戦予定だった大関琴桜が、右膝を痛めて休場。土俵で勝ち名乗りを受けると、知らなかった場内の観衆から「えーっ」などと、残念がる声が多数あがった。1敗を守って13勝目を挙げると、1差で追っている横綱豊昇龍の取組を見守った。
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優勝争いの終盤で、不戦勝がかかわったケースは、過去にもある。
2012年夏場所のこと。14日目を終え、11勝3敗で大関稀勢の里、平幕の栃煌山、旭天鵬が並んだ。千秋楽に大関琴欧洲が休場し、栃煌山が3敗をキープ。稀勢の里は敗れ、勝った旭天鵬が、栃煌山との優勝決定戦に進んだ。結局、旭天鵬が勝って、初優勝を果たした。
当時を振り返り、元旭天鵬の大島親方は「自分の相撲に集中した。追いかける方が考えない。あくまで、オレの場合はね」と話した。
不戦勝で労せず決定戦に進んだ元栃煌山の清見潟親方は、今回との比較に「僕の場合は、当日(の不戦勝)ですから。自分は当日なんで、緊張しましたよ、逆に。ラッキーとは思わなかった。(今回の不戦勝は)横綱ですからね。横綱までいっている人は、精神的にも違う。相撲を取ろうが、不戦勝しようが、関係ないでしょう」と説明した。
偶然だが、この日の幕内前半戦は、元稀勢の里の二所ノ関親方を含め、当時優勝を争った3人が審判団として土俵下に座っていた。
不戦勝で千秋楽に臨む大の里か、勝って望みをつないだ豊昇龍か。14日目の勝ち方が、千秋楽に向かう心理に影響するかもしれない。【佐々木一郎】

