NGT48大滝友梨亜(22)が、10月末でグループを卒業する。アイドルとしては異例といえる茶髪でデビューした個性派が、第2の人生に進むことになった。

 ファーストインパクトが強烈だった。15年7月上旬に、新潟市内で行われたNGT48の2次審査。金髪にも見える茶髪の少女がさっそうと会場に入ってきた。今や、茶髪や金髪もファッションの1つで、トレードマークにするアイドルも少なくない。それでも、清純さも求められるアイドルのオーディションに茶髪で現れるのは異例。どよめく審査員をよそに、「すっげー入りたいです」とアピールした。

 その2週間後に行われた最終審査に、彼女の姿があった。失礼ながら見た目には反して、バラード曲をしっとりと歌い上げた。秋元康総合プロデューサーが質問する。「もし、髪の毛を黒くしなさいと言われたらどうしますか?」。少し間をおきながら「う~ん、頑張ります」と動じずに答えた。合格者によるメディア向け写真撮影に、やっぱり彼女の姿があった。

 審査員の目を引くために、オーディションに合わせてわざと派手な髪色にしたのかと思った。最初の取材時に聞いてみると、答えは違った。「もともと高校を卒業してから茶髪で、いろいろ色は変えていたんです。答えるまでに間が空いたのは、秋元先生から指摘されて『えっ、歌唱審査なのに髪の色のことですか?』ってビックリしちゃって」。彼女にとっては、普通のことだったのだ。

 グループを担当して彼女を取材していくうちに、素顔も見えてきた。初めて受けたNGT48のオーディションは、父親の勧めで受けた。自分がなるつもりは全くなかったというが、もともとアイドルが好きだった。

 確かにそう思わせる節は、2次審査にあった。2次審査には、キャプテンとしてAKB48からの移籍が決まっていた北原里英(26)と、AKB48との兼任が決まっていた柏木由紀(26)が審査に加わった。2人がいることは受験者には知らされておらず、ただでさえ緊張している場面で、多くの受験者が2人の姿を見て目を丸くした。しかし、大滝の目は一瞬輝いたように見えたのだ。

 月刊AKB48グループ新聞の企画では、新潟の郷土料理「のっぺ汁」の作り方を、一から丁寧に他のメンバーに教えるなど、家庭的な一面も見せてくれた。ダンスが得意ではなかったが「メンバーの前でできないと泣いたら、他のメンバーにも不安を抱かせちゃうと思って泣きたくなかったんですけど…。本当はネガティブなので、先生の言葉に思わず泣いてしまいました」と熱い思いを話してくれたこともあった。他のメンバーからも、大滝が慕われている様子が伝わってくるエピソードを何度も聞いた。

 独特の感性をいかして、ラジオ番組でも重宝されるなど活躍したが、研究生として活動をスタート。デビューシングルの選抜メンバーにも選ばれなかった。今後の進路は本人の胸の内にあるようだが、きっと彼女なら、アイドルとして活動した約2年間の経験をいかすのだろう。もしかしたら、何か奇抜なことをするのかもしれない。それでも彼女はきっと言うのだろう。「え? それって普通ですよ」と。