48グループのコンサートで、メンバーがけがをする事故が続いた。1日にさいたまスーパーアリーナ(SSA)で行われたAKB48のコンサートで、稲垣香織(20)がステージから転落、後頭骨を骨折する事故が起きた。3月31日にも、同じ会場で行われたHKT48のコンサートで、秋吉優花(17)がステージから落ち、足の指を骨折するけがを負っていた。

 一連のアクシデントをめぐり、ちょっとした場外戦も起きた。HKT48指原莉乃(25)は、自らのステージ経験をもとに、フジテレビ系「ワイドナショー」で「特殊な形で危険なことをしてたのなら分かるんですけど、歩いてるだけだったので、あまり大きなステージに慣れてない子が上を見ちゃっていて、そのまま落ちちゃった」と見解を語った。SKE48須田亜香里(26)は、動画配信サービスSHOWROOMで「私は安全第一を死守しました」と、事故について言及した。運営スタッフの責任なのか、個人の不注意が原因なのか、答えを出すのは難しいところではある。

 コンサートでメンバーと目が合えば、ファンの喜びや興奮はひとしおだ。来てくれた1人1人にできる限り楽しんでもらいたいと思うのが、メンバーやスタッフの共通の思い。遠い客席にいるファンに対しても、同じ気持ちだ。

 ところが、SSAのような大会場だと、最上段の客席はステージから数十メートルの高さにある。HKT48と同じ日、同じ会場でコンサートを行ったSKE48のキャプテン斉藤真木子(23)は、「上のファンにまで目配せをするために、私たちも体を反ったりすることがあります」と説明した。上を見れば見るほど、足元への注意がおそろかになってしまう。斉藤自身は開演前、「500レベル」と呼ばれる最上階席まで行き、客席から見たステージの状況を確認し、本番をイメージしていたという。

 もちろん、事故は「なくて当たり前」ではあるが、SKEでは事故は起きなかった。理由を探ってみると、リハーサル、場当たりの段階で、舞台監督やスタッフからメンバーへ、「落ちないように気をつけて」と、再三にわたり注意があったという。

 SKE48は4年前の4月、同じ会場で、熊崎晴香(20)がステージから転落、右手首を骨折して全治3カ月という事故が起きていた。熊崎が泣きながら担架に乗せられる様子は、ドキュメンタリー映画の特典映像に収められている。高柳明音(26)は「私は落ちた瞬間は見ていなかったけど、あの映像を見て衝撃を受けました。『これは注意しなくちゃいけない』って思いました」と気を引き締めていたという。事故を防いだ要因の1つが、「声掛け確認」という実に単純な作業であったことは、間違いなさそうだ。

 AKB48グループは、失敗をしないアイドルグループではない。14年の握手会襲撃事件しかり、失敗や不測の事態から教訓を得て、最善の対応策を探り、目に見える形で実践していくことで、ファンを納得させてきた。今回のアクシデントを受け、メンバーも安全に歌って踊り、ファンも安心してコンサートを見られる環境作りがなされることを期待したい。