AKB48峯岸みなみ(28)が22日に横浜市のぴあアリーナMMで卒業コンサート「桜の咲かない春はない」を行った。昨年4月2日に横浜アリーナで開催予定も、コロナ禍で1年延期となったが、卒コンに込めた思いは変わらなかった。

19年12月8日の劇場14周年公演でグループ卒業と、卒業コンサート開催を発表した。卒業を決めた際は、「恐れ多いし、卒コンをやれる立場にはない」と、発表後すぐに卒業する思いだったというが、小嶋陽菜(33)や高橋みなみ(30)から「やるべき」と勧められ、舞台も整ったことから、実施が決まっていた。

昨年3月、実は卒コンに向けてロングインタビューを行っていた。1年の延期で、本番に臨む心の持ちようや、物理的な変化はあっただろうが、その時から卒コンに込めた思いは変わっていなかった。

成功も失敗もさまざまなことを体験したからこそ「最後くらい“いてくれてありがとう”と良かったと思ってもらえる」卒コンを作り上げる…。望んだのは、ただ卒業生に出演してもらうのではなく、現役メンバーと一緒に“歌って踊って”もらうことだった。

篠田麻里子(35)が卒業したのは13年7月、板野友美(29)が同8月、大島優子(32)も14年6月と、ほとんどの現役メンバーは接点がなかったり、同時期に在籍していても“近くて遠い存在”。AKBの代表曲もパフォーマンスしたことがあっても、一緒にやったことはなかった。

峯岸 今は、AKBに憧れて入ってきた子も多いです。レジェンドと一緒にやれるのはうれしいと思ってくれると思いますし、「私はこの曲で頑張る!」というポイントも見つけてほしいし、今後のモチベーションにもつながるような場面も作ります。先輩のつくる空気感とか勢いを感じてほしいです。

それぞれの卒業生には直談判した。これまで卒業生が出演しても、ダンスの負担が少ない曲や構成で行うことが通例。卒業生たちも峯岸の意向をくみ、みな快諾したという。

峯岸 本来は踊らなくてもいい子たちが快く「いいよ」と言ってくれたのはうれしかったですし、そう言ってもらえる自分でいられたのは幸せだなって…。みんなが協力してくれる私であれたのは誇れるところというか、財産です。

高橋は「RIVER」、小嶋は「大声ダイヤモンド」、篠田は「上からマリコ」、妊娠中の板野は踊れなかったが「ポニーテールとシュシュ」、大島は「ヘビーローテーション」、秋元才加(32)と宮澤佐江(30)は激しいダンス曲「転がる石になれ」を汗だくになって歌い踊った。それぞれのオリジナル衣装にも袖を通した現役メンバーの表情は、より一層輝いているように見えた。最後の1期生だからこそ、峯岸みなみだからこそのコンサートだった。

つながれたバトンは、早速生かされた。翌23日、同所で行われたAKB48単独コンサート。ほぼMCなしのノンストップで48曲を披露したメンバーはみな、何か自信を少し持った表情をしているように見えた。1期生がいなくなり、それぞれのメンバーの自覚や責任感が増したとともに、AKBやアイドルに憧れた原点に回帰できたのだろうと想像できる。

同コンサートの演出に携わった柏木由紀(29)は「これだけたくさんのアイドルがいる中で、私たちAKBを選んで応援してくださるファンの皆さんにとって誇りに思える、そして胸を張って、心の底から好きだと言ってもらえるグループでありたい」と熱く話した。

コンサートの最後には、新番組が7月からスタートすることがサプライズ発表された。タイトルは「乃木坂に、越されました。~崖っぷちAKB48の大逆襲~(仮)」。自虐的だが、何かが起こりそうな気がするAKBっぽい空気感…。新たに動きだしたAKBにとっても、エポックメーキングな2日間のコンサートだった。【大友陽平】