【上海(中国)12日=森本隆】AKB48から上海を拠点にするSNH48に移籍した宮沢佐江(22)が、熱血教官として「デビュー」した。SNH48が上海市内の劇場で、ファン1200人を集めて旗揚げ公演を開催。宮沢は同時に移籍した鈴木まりや(21)とともに、就労ビザの関係で出演はかなわなかったが、6日前から上海入りし、公演の演目を熱っぽくメンバーに指導。「教え子」たちの初舞台を客席から見守った。

 宮沢は感激の面持ちだった。開演直前、立派に育った「妹」たちを見ようと、鈴木とともに2階席へ姿を現した。目ざといファンに、すぐに見つかった。

 「佐江!

 佐江!

 佐江!」

 コールに応え、うれしそうに拳を振った。続いて「まりやコール」に鈴木が応じると、場内のボルテージが一気に高まった。

 ステージに立てたのは、約3万8000人の中から選ばれた13~22歳の24人。宮沢、鈴木とも、就労ビザを取得できておらず、舞台に立てなかった。それでも、宮沢は決意していたことがあった。「ダンスを教えることが、自分が今できることだと思う」。6日に鈴木と上海入りすると、デビューを目指す24人の指導に回った。「自分のチームを客観的に見られる機会だし、勉強になった」。昨年11月末にも指導役になったが、公演初日が近づき、後輩たちの成長を喜びながらも、あえて厳しく指導した。

 SNH48が挑戦したのは、体育会系で知られるAKB48チームK公演の「最終ベルが鳴る」。かつて自身も出ていた公演だけに、指導にもより熱が入った。レッスンの様子を見た関係者が「宮沢は怒ったりもするんです」と驚く熱血ぶり。宮沢も「これから一緒にやっていくメンバーだからこそ、怒ったりもしました」と明かした。

 昨年8月のAKB48東京ドーム公演で、宮沢の海外移籍が発表された。AKB48の中心メンバーだっただけに大きな衝撃。だが、その地位を離れてまで海外挑戦を決めた理由があった。「夢である女優のお仕事に将来、近づけるようにと、留学の話をいただきました」。異文化に触れながら後輩たちを指導し、成長して日本に戻るつもりだ。

 11日からは台湾でオンラインゲーム「闘魂Online」のテレビCMがスタート。宮沢はセンターとして出演している。今日13日には台湾で初の握手会を行う。宮沢のゼロからの挑戦が始まった。

 ◆宮沢佐江(みやざわ・さえ)1990年(平2)8月13日、東京生まれ。06年にAKB48の2期生オーディションに合格、同年4月にチームKから公演デビューした。同年の「会いたかった」など、シングル選抜回数は25回。総選挙最高位は10年の9位。派生ユニット、DiVAにも所属。164センチ。血液型O。

 ◆SNH48

 AKB48グループからJKT48(ジャカルタ)に次ぐ2つ目の海外グループとして、中国・上海に結成された。11年夏にオーディションを開催し、約3万8000人から26人が選ばれた(その後、2人が辞退)。「SNH」は「ShaNgHai」から。4月に専用劇場をオープンする。