本来ならこの時期のハリウッドは賞レースの話題でもちきりのはずですが、今年は聞こえてくるはずのオスカー狙いの作品や、俳優の話題があまり盛り上がっていません。というのも賞レースの行方よりも次々と発覚する新たなセクハラ疑惑に人々の関心が集まっているからです。大物プロデューサーのハーベイ・ワインスタイン氏が長年に渡って多くの女優やモデル、女性スタッフらにセクハラ行為を行っていたことが発覚して以来、オスカー俳優ケビン・スペイシーやダスティン・ホフマン、ピクサーの創設者でディズニーのトップでもあるジョン・ラセター氏などなど、超大物のセクハラや性的暴行が次々と暴かれ、次は誰が? というような状態のハリウッド。しかも、オスカー荒らしと呼ばれて通算300回以上アカデミー賞にノミネートされてきたワインスタイン氏は、逮捕間近と言われているのだから仕方がないのかもしれません。

 とは言うものの、12月に入ると次々とアカデミー賞の前哨戦といわれる各映画賞が発表されるため、今年もこれからオスカーの話題で盛り上がってくることを期待しましょう。今年の賞レースを前に、来年のアカデミー賞にまつわるあれこれをまとめてみました。

 ◆スケジュール

 最初に行われるノミネート投票は、2018年1月5日~12日の1週間で、現地時間23日早朝にノミネート作品や俳優が発表されます。その後の本投票は2月20日に始まり、27日で終了。そして2018年3月4日にハリウッドのドルビー・シアターで授賞式が行われます。

 ◆候補対象と選考方法

 選考対象となる作品は、今年の1月1日から12月31日までの期間にロサンゼルスの劇場で連続1週間以上有料公開されたもの。俳優や監督、プロデューサーらで構成される約6000人のアカデミー賞会員による投票で決まります。

 ◆授賞式の司会

 今年の授賞式が大好評だったABCテレビのトーク番組「ジミー・キンメル・ライブ!」の司会で知られるジミー・キンメルが続投。軽快なトークで人気のキンメルが、セクハラ問題にどのように切り込むのか注目です。

 ◆今年の有力候補作品

 前評判ではクリストファー・ノーラン監督が初めて手掛けた戦争映画「ダンケルク」が有力。アカデミー賞主演男優賞に3度輝いているダニエル・デイ・ルイスの引退作「ファントム・スレッド」やSF映画の金字塔と言われる「ブレードランナー」(82年)の続編「ブレードランナー 2049」なども候補入りするか注目です。また、アメコミ映画からは今夏に大ヒットした「ワンダーウーマン」が候補入りする可能性も取りざたされています。

 ◆セクハラ疑惑の影響

 ソニー・ピクチャーズは、リドリー・スコット監督の新作「オール・ザ・マニー・イン・ザ・ワールド」から少年への性的暴行の容疑が浮上したスペイシーの出演シーンを全て削除し、代役を立てて再撮影を行うことを決断。予定通り12月に公開されると言われていますが、賞レースへの影響も懸念されます。また、オスカー候補作と言われる今夏大ヒットした「ベイビー・ドライバー」も、スペイシーが出演していることから賞レースで不利になる可能性が指摘される他、ワインスタイン氏が率いるワインスタイン・カンパニーの作品も苦戦が予想されています。

 ◆主な前哨戦

  トロント国際映画祭 「スリー・ビルボード」が最優秀賞に当たる観客賞を受賞

  ニューヨーク映画批評家協会賞 11月30日発表

  ロサンゼルス映画批評家協会賞 12月3日発表

  全米映画批評家協会賞 2018年1月6日発表

  ゴールデン・グローブ賞 2018年1月6日授賞式

  全米プロデューサー組合賞 2018年1月20日授賞式

  全米映画俳優組合賞 2018年1月21日授賞式

  全米監督組合賞 2018年2月3日授賞式

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)