昨年12月から新型コロナウイルス感染症のワクチンの接種が始まっているアメリカでは、バイデン大統領が秋までにほぼ全ての国民が接種を受けられるようワクチンの確保をすると表明しています。

しかし、接種開始から1カ月以上が経った現在、全米各地で深刻なワクチン不足や配布を巡る混乱が伝えられています。接種の優先順位や接種体制は州などで異なりますが、ここロサンゼルス(LA)では先月から優先順位が最も高い医療従事者や介護施設の職員と入居者に加えて65歳以上の住民への接種もスタート。さっそく、対象となるハリウッドスターたちも接種を始めています。

車中でワクチン接種を受ける女性(米カリフォルニア=AP)
車中でワクチン接種を受ける女性(米カリフォルニア=AP)

元カリフォルニア州知事でもある73歳のアーノルド・シュワルツェネッガーは、LAドジャースの本拠地に設置されたドライブスルーの大型ワクチン接種場で車の窓越しにワクチンを接種する動画をSNSに公開、いち早くワクチンを接種したことを報告。接種まで数時間待ちと伝えられる中、「列に並んで待つことがこれほど幸せな日はない」と語り、一般の人に混ざってドライブスルーの列に並んだことを示唆。「接種の対象者になったら登録してワクチンを打って。生きたいなら私の後に続いてワクチンを接種して!」と呼びかけ、元州知事として知名度を生かしてワクチンの啓蒙活動に一役買っています。

また、72歳のサミュエル・L・ジャクソンも、ニック・フューリーを演じた映画「アベンジャーズ」のキャラクターが描かれたマスク姿でLAのワクチン接種場になっているアリーナ、ザ・フォーラムを背景に車の中から撮影した自撮り写真を投稿。ドライブスルーの列に並んで順番を待つ様子も公開しており、1回目の接種を受けたことを報告。

83歳のアンソニー・ホプキンスもLAの病院でドライブスルー接種場にてマスクにフェイスシールドで完全防護して車の中からワクチンを接種する動画を公開。「トンネルの終わりにある光」とコメントを添え、未来への希望を綴っています。

SNSで接種したことを公表して、ワクチン普及に一役買っているスターがいる一方、ひっそりと一般人に混ざって2時間並んで接種を受ける姿が目撃されたのが、78歳のハリソン・フォードです。接種に関して代理人からもコメントは出されていませんが、報道では自ら接種の登録と予約をして接種に訪れたと伝えられています。

重症化のリスクが高いとされる70歳以上のスターたちが続々とワクチン接種をしている中、51歳のタイラー・ペリーは自宅のあるジョージア州アトランタでワクチンを接種したことを公表。同州でも現在の対象は医療従事者と65歳以上の高齢者のみですが、割り込みではなく、地域社会への貢献で絶大な信頼と人気があるペリーは、ワクチン接種に懐疑的な人が多い黒人層に対して接種を促す広告塔的な役割として、早期接種のオファーがあったことを明かしています。今月4日にファイザーのワクチンを接種し、25日に2度目の接種を終えた翌日は体の痛みを感じて目が覚めたと若干の副作用があったことを明かしたものの、すぐに回復したとし、ワクチン接種の重要性を訴えています。

一方、米国外でワクチンを接種したのが、「プラトーン」(1986年)や「JFK」(1991年)などで知られる74歳のオリバー・ストーン監督。気候変動に関するドキュメンタリー映画の撮影のための訪れていたロシアで、ロシア製ワクチン「スプートニク5」を接種したことをインタビューで明かし、「効果があるのか分からないが、ロシアのワクチンは良いと聞いている。45日後に2度目の接種を受ける」と語っています。【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)