6月5日は環境保全に関する理解を高め、地球環境の保護に向けて積極的な取り組みを推進することを目的に制定された「世界環境デー」でした。

地球温暖化やプラスチックごみによる海洋汚染、大気汚染に生態系の保護など毎年様々なテーマが発表され、6月は1カ月間にわたって「環境月間」として様々な啓発活動やイベントが世界各地で行われています。今年のテーマは「生態系の回復」ですが、陸上生態系や海洋生態系が劣化すると、地球上に暮らす32億人の福利に悪影響を及ぼすと言われています。

生態系の回復とは、土地景観や湖、海など生態系の劣化を転換させ、生態学的機能を取り戻す取り組みで、乱開発された土地に植林や緑化を行い、植物や野生動物の再生による生態系の回復を促すことなどがあげられます。まずはごみのポイ捨てをやめ、自然を大切にし、環境にやさしい生活を心がけるなど、一人ひとりが地球環境のためにできる身近なことからはじめることが大切ですが、環境問題に熱心なハリウッドセレブの取り組みも参考になりそうです。

世界環境デーを記念し、地球の未来を変えるため、熱心に環境保全に取り組むスターたちを紹介します。

●レオナルド・ディカプリオ

環境保護家として気候変動や自然災害救済、生態系の保全などに積極的に取り組んでいるレオナルド・ディカプリオは、1998年に「レオナルド・ディカプリオ財団」を設立し、これまで世界中の環境保全団体に1億ドルを超える寄付を行っています。

最近では猛威を振るう森林火災で焼失の危機にあるアマゾンの熱帯雨林の保護を熱心に訴えていますが、気候変動や野生動物の保護などをテーマにしたドキュメンタリー映画も多数製作しており、「地球が壊れる前に」(2011年)ではプロデュースのみならず主演も果たしています。

レオナルド・ディカプリオ(16年撮影)
レオナルド・ディカプリオ(16年撮影)

環境保護活動が認められ、14年には気候変動問題を担当する国連平和大使に任命され、「私たちの今後数年の行動が、人類と地球の未来を決める」と演説。16年に「レヴェナント:蘇えりし者」でアカデミー賞主演男優賞を受賞した際にも「気候変動」の問題を訴える感動的なスピーチで大喝采を浴びました。また、アカデミー賞授賞式に出席する際にリムジンではなく、環境にやさしいハイブリッド車を使用して話題になるなど、エコカーや太陽光パネルなどエコフレンドリーな生活も実践しています。

●エマ・ワトソン

「ハリー・ポッター」シリーズで人気を博したエマ・ワトソンは、14年に国連女性機関(UN Women)の親善大使に就任し、ジェンダーの平等などを訴える活動家としても活躍していますが、環境問題にも関心を持っています。

16年のファッションの祭典メットガラで再生プラスチック素材を使用したドレスを着用して注目を集めるなど、持続可能でエコフレンドリーなファッションの推進に力を入れているワトソンは昨年、グッチやイヴ・サンローランなど高級ブランドを傘下に持つケリング社の取締役に就任。同社の環境問題を扱う持続可能委員会の議長としてファッション業界における環境問題の取り組みに貢献しています。

●マーク・ラファロ

「アベンジャーズ」シリーズのハルク役で知られるマーク・ラファロも、十数年前から環境保護家として積極的に活動しているスターの1人として知られ、シェールガス採掘の水圧粉砕反対運動などに尽力しています。

11年には100%再生可能エネルギーの実現を目指す団体「ザ・ソリューションズ・プロジェクト」を共同設立し、自身が暮らすニューヨーク州から水圧粉砕を追放させることにも成功。化石燃料から風力や水力、太陽光発電など再生可能エネルギーへの転換を推し進めています。

●ジェーン・フォンダ

83歳の大物女優ジェーン・フォンダは、コロナ禍前は毎週金曜日にトレードマークとなっている真っ赤なコート姿で米首都ワシントンDCで行われていた気候変動デモに参加し、連邦議会議事堂前で地球温暖化防止を訴えていました。

70年代にはベトナム反戦運動に参加するなど若い頃から活動家として声を上げ続けているフォンダは、10代の環境活動家として世界を席巻するグレタ・トゥーンベリさんに触発され、現在は環境問題に没頭しています。自身が逮捕されて注目を集めることを目的に行っているデモではこれまで何度も逮捕されており、その様子はSNSやメディアでも度々話題になっていました。

●ホアキン・フェニックス

「ジョーカー」の怪演で昨年のアカデミー賞主演男優賞に輝いたホアキン・フェニックスは、完全菜食主義者のヴィーガンとして知られ、動物愛護活動にも積極的に取り組んでいます。肉や魚など動物性たんぱく質を一切口にしないだけでなく、卵や乳製品なども摂取しない厳格なヴィーガン食を実践するフェニックスは、気候変動の要因に二酸化炭素を大量排出する酪農と畜産があることを指摘し、食生活を変えることの重要性を訴えています。

フォンダと共にワシントンDCで行われた気候変動のデモに参加して警察に拘束されたこともあるほか、オスカー受賞スピーチでも「我々は自然界に入り込んで、その資源を略奪している」とスピーチし、人権問題などとともに動物の権利を訴えて話題になったこともあります。【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)