東京・中野のランドマークだった中野サンプラザホールが7月2日の山下達郎のライブを最後に閉館する。周辺地区の再開発のためで、28年度内には新しいホールに生まれ変わるという。そんなサンプラザホールの開館は半世紀前の1973年のことで、そのこけら落とし公演として上演されたのが劇団四季のミュージカル「ジーザス・クライスト=スーパースター」(当時のタイトルは「イエス・キリスト=スーパースター」)だった。

すべての役はオーディションで決められ、キリスト役は劇団の若手だった鹿賀丈史が抜てきされたほか、ユダに元ジャニーズの飯野おさみ、ヘロド王には外部から挑戦した市村正親が起用された。演出は当時40歳の浅利慶太さんで、攻めに攻めた世界に類のない演出だった。舞台上に5台の大八車が行きかい、キリストもユダも白塗りに歌舞伎風の隈取(くまどり)で、ヘロデ王は倶利伽羅門(くりからもん)姿で人力車に乗って登場するなど。型破りな舞台だった。その3年後、キリストが生きた時代のイスラエルの荒野を再現した舞台装置に、演出もまったく異なる形で上演された。その後、73年の初演版が「ジャポネスク・バージョン」、76年の上演版が「エルサレム・バージョン」として、何度も再演されてきた。

ジャポネスク版が1991年にロンドンで上演された時も同行取材した。ミュージカルの本場での公演に、現地では冷ややかな報道もあったけれど、初日の客席は場面ごとに大きな拍手が起こり、カーテンコールではスタンディングオベーションとなった。私も誇らしい気持ちとなり、初日の成功を伝える記事を宿泊ホテルのファクスでロンドンから東京に送った思い出がある。

初演時の73年に創立20周年を迎えたばかりの若手劇団だった四季も、今や日本最大の劇団となり、創立70周年記念公演として10年ぶりとなるジャポネスク版が22日から自由劇場で上演される。エルサレム版は来年2月に上演予定だが、浅利さんが「僕としてはどちらもかわいい」と慈しむ2つのバージョンの見比べを楽しみにしている。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)