「スター・ウォーズ」シリーズで一番好きな登場人物がハン・ソロだ。やんちゃで不器用、めんどくさいことをすっ飛ばす豪快さと照れ屋が同居する、愛すべき存在だ。

 でも、ソロの何を知っているかというと何も知らなかった。生い立ちも、元カノも、当然のように一緒にいた相棒チューバッカとの出会いも、愛機ミレニアム・ファルコン号を手に入れた理由も。

 知り得なかった青年時代のソロを追った当作で、疑問がずばずば解決していく。過去作で感じたチューバッカとの絆の強さ、納得するエピソードが満載だ。生死をかけた戦いを乗り越えないと、あんな強い絆は生まれないよなあ、と。

 不思議な音楽が流れるパーティー、高速追いかけっこ、敵味方がひっくり返るさま、黒幕登場、とシリーズらしい楽しみが詰まっている。米国での興行成績は伸びていないというニュースも見るが、個人的には何で? である。

 ソロがなぜハン・ソロになったのかが分かると、これから「ハン・ソロ」と呼ぶたびに、当作に出てくるエピソードをきっと思い出すだろう。愛情はより深まったが、メインシリーズでソロを失ったショックを、再度感じている。【小林千穂】

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