何度も身を乗り出し、スクリーンを見入った。ディズニーの大ヒットアニメ映画のリメーク。動物たちの毛先の1本1本までがリアルに再現されていて、ホンモノ? 何度も目を疑うほどだった。ディズニーは「実写もアニメも超えた新たな映像体験」とPRし、“超実写版”と名付けた。

舞台はアフリカのサバンナ。ライオンの王の息子シンバが成長する姿を描く。最先端のVR(バーチャルリアリティー)技術も取り入れた映像は、圧巻だ。ゾウ、キリン、跳びはねるレイヨウ…。躍動感にあふれるのは動物たちだけではない。風にそよぐ草、川のせせらぎ、満天の星空、とにかくリアリティーがすごい。冒頭、誕生したばかりのシンバをヒヒの呪術師ラフィキが岩山の頂上で抱きかかえるシーンはゾクッとする。シンバとともに旅をする、陽気なイボイノシシのプンバァとミーアキャットのティモンの掛け合いはクスッと笑える。

「生命の輪」という大きなテーマを描きつつ、親子の絆、友情、恋の悩みなど、人間にとって普遍的なテーマを扱う。身近で共感できる場面が多い。「超実写版」の映像とともに、子どもから大人まで楽しめる。【松浦隆司】(このコラムの更新は毎週日曜日です)