人間はどういうときに恐怖を感じるのか? 未知なるもの、経験したことがないものに対して、反射的に恐怖を抱くという。「リング」(98年)「事故物件恐い間取り」(20年)などホラー映画の名匠・中田秀夫監督の最新作は、怪奇現象が多発する森を舞台に、正体不明の「それ」に遭遇して未知の恐怖に巻き込まれていく人々を描く。

田舎で農業を営む主人公、田中淳一を嵐の相葉雅紀が演じる。映画主演は約8年ぶり、ホラー映画初挑戦となる。物語は、元妻・爽子(江口のりこ)と東京で暮らしていた小学生の息子・一也(ジャニーズJr上原剣心)が淳一のもとを1人で訪ねてくる場面から始まる。

相葉が全身で恐怖を表現するとともに、父として成長する姿を熱演。江口もいい味を出し、一也の担任教師を演じた松本穂香の自然体がいい。何よりも息子役の上原のみずみずしい演技が、作品の強度を押し上げている。不穏な旋律が響く中、背筋が凍る場面に何度も出くわすが、「そんなアホな…」。ツッコミどころも少なくない。父と息子の物語でもあり、ホラーが苦手な人でも楽しめる。【松浦隆司】(このコラムの更新は毎週日曜日です)