最近、新聞の日付欄で曜日を確認する機会が増えた気がする。コロナ禍で日常の変化が乏しくなったからだと思う。今なら「同じ1週間」が繰り返しやってきても、気付かないかもしれない。時宜を得たタイムループ作品といえるだろう。

小さな広告代理店で働くクリエーターの朱海(円井わん)は多忙な1週間を終え、もうろうとした中で目を覚ます。そこは難題だらけで始まる月曜の会社だった。当たり前のように体は動く。「先週」同様に窓にトリがぶつかってもピンとこない。それが同じ月曜だとは気付かない。

端役にも印象を残してきた円井は演技の振幅が大きい。クリエーターの人間味にリアリティーがある。

何週か巡った朝、後輩2人組がおずおずと彼女に耳打ちする。「僕たちタイムループしています」。しだいに職場に共通認識が広がり、「脱出」の検討が始まるが、鈍いのか意図的なのか、部長(マキタスポーツ)だけはループに気付こうとしない。ループの原因はその部長が若き日に抱いた「夢」にあるようで…。

竹林亮監督=夏木さえり脚本のコンビは代理店業務の細部を巧みに描きながら、不思議世界にいざなう。【相原斎】(このコラムの更新は毎週日曜日です)