平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)は25日、閉幕します。男子フィギュアスケートの羽生結弦選手(23)の66年ぶりの五輪連覇は、日本中を沸かせました。けがから復活した感動の演技から1週間。この週末、兵庫、大阪などの「聖地」にはお礼参りする羽生ファンが全国から続々と詰めかけています。一方、聖地には羽生選手の「御利益効果」に注目した一般の参拝者も激増しています。

 名前と似ていることからファンの「聖地」となっている神戸市東灘区の弓弦羽(ゆづるは)神社。本殿前には参拝待ちの列ができ、授与所はお守りを求める人の列が途切れることがありません。沢田政泰宮司(64)によると、金メダル決定翌日には通常の約20倍、今週末は再び、激増しています。

 大阪府豊中市に住む羽生ファンの主婦(53)は「やっと時間を見つけてくるこができた」。ゆっくりと時間をかけ、絵馬に「金メダルおめでとう!最高の笑顔を見届けることができました」と記しました。

 同神社は前回のソチ五輪の金で、羽生選手への注目度が上がり、参拝者数は以前の約10倍に増加。認知度が上がっている中、今回の平昌五輪の金メダルは思わぬ効果をもたらしたようです。「ファンの方の参拝はもちろんですが、ファン以外の方の参拝が増えた。ソチの金メダル後とはまったく違う状況です」と沢田宮司。羽生選手の右足首のけがは五輪出場も危ぶまれるほどでした。「どうか、思い通りの演技ができますように…」。ファンの願いは通じました。約4カ月ぶりのぶっつけ本番。右足首の痛みに耐えながら勝利への執念を見せ、金メダルを獲得しました。羽生選手を後押しした“御利益パワー”に注目した受験生らが訪れ、合格祈願をしているようです。

 羽生選手がけがをしてからファンの聖地の1つになった、全国でも珍しい「足の神様」として知られる服部天神宮。こちらも「羽生効果」が現れています。

 同神社の「足の神様」の由来は、平安の昔、「学問の神様」菅原道真が大宰府に流される途中、持病の脚気(かっけ)の回復を、この地にあった医薬の神を祭ったほこらに願をかけたところ、すっかり治ったという言い伝えがあります。

 平昌五輪の直前まで同神社でお百度参りする複数の女性を何度も見かけたという加藤芳哉宮司(59)は「金メダルの翌日からお礼参りの女性が一気に増えました」。一方でこちらの神社も「えびす祭などの神事がないときにこれだけの方が参拝されるのは記憶にない」と言うほどの激増ぶり。五輪は終わっても、聖地では「羽生効果」が続きそうです。

【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)

服部天神宮の菅原道真公の銅像に手を合わせる親子(2018年2月24日撮影)
服部天神宮の菅原道真公の銅像に手を合わせる親子(2018年2月24日撮影)
金メダルのお礼で奉納された絵馬(2018年2月24日撮影)
金メダルのお礼で奉納された絵馬(2018年2月24日撮影)