幅広い女性の支持を受け、ファッション誌などでみかけない日はない。カリスマ美容家の神崎恵(45)。3児の母にして、このスレンダーボディーは多くの女性の憧れだ。自ら実践し体験した美容メソッドが評価され、美しさだけでなく、女性らしい豊かな生き方を提唱する。アイドルとしての挫折から結婚と離婚を経て、現在にたどりついた軌跡を語ってもらった。
★カリスマ美容家
カリスマ美容家と呼ばれる。これまで出版した著作の累計発行部数は134万部超。新著「神崎CARE」(ワニブックス)は発売前から5万部を突破するなど、美容業界のトップランナーだ。ファション誌、美容誌を中心に連載を持ち、イベントを開催。自ら主宰するアトリエでは生徒にメークや生き方を提案する。多くの女性が憧れる存在は今年4月、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」で特集された。
「美容はきれいになることが目的だと思われるかもしれませんが、私の目指す美容は、女性がより毎日を日々楽しく、幸せに生きて、人生を豊かにするためのツールの1つ。女性は朝起きて、肌がきれいだと1日、心が和らぐんです。きれいになるというよりは、自分の人生を豊かにすることが好きなんです」
子供の頃から美容には関心があった。「小学生になると色つきリップを塗った自分の顔を鏡で見て、化粧品ってすごいなって思いました。人生に落ち込んだ時に元気、勇気をもらいました」。
その言葉とは逆に、男まさりの少女だった。キックベースが好きでサッカー少年団に入る。毎日、日焼けして真っ黒な少女だったという。「顔も日焼けで真っ黒。皮もむけていました。美容も好きだったけど、それよりもスポーツが大好きでした」。
中学に入ると、翻訳家が夢になる。小さいころから本が好きで、毎日、書店に寄るのが日課だった。「紙のにおいが好き。角田光代さんや湊かなえさんの作品は必ず読んでいました。女性しかわからない、女性の闇というか女性のどろっとしたところが描かれているのが好きで、きれいごとだけじゃないというのは、美容にも通じているのかな」。
★もがき苦しんだ
活発な少女は17歳のとき、ヤングジャンプ「全国女子高生制服コレクション」でグランプリを受賞。大手芸能事務所に所属し、アイドルに。当時の芸名も神崎恵。だが、爪痕を業界に残すことはできなかった。20歳を過ぎ、先の人生を考え、違うことに挑戦したいと思うようになるが、25歳の時にJリーガーと結婚。2児の母となり専業主婦に。今でこそ「上のお兄ちゃん2人が私を母親として育ててくれました」と振り返るが、妻や母として追われる日々だった。
35歳の時に2人の子供を連れて離婚。著書に「何をすべきか、もがき苦しんでいる時でした」と記すほど、今思えばターニングポイントだった。
「自分が何者なのかが薄れている気がしました。妻だったり、お母さんではあるけど、私って何だろう。個人としての私の存在を見つめ直すようになりました」
そこで、美容が浮上する。最初に1歩踏み出したのは、ブライダルだった。ブライダルプロデューサーの学校に通い、ブライダルフラワーも勉強した。さらに、眉毛やまつげのデザインスクールにも通った。
「子供が2人いて生きていかねばならない。生きていくためには仕事が必要だと。何ができるのかと考えたときに、一緒に生きてきた美容だと。美容は女性の心と深くつながっているし、私も美容に助けられた。知識もあったので、ここをもっと強化すれば仕事になるんじゃないかと思ったんです」
★自分なりの表現
とはいえ、すぐに仕事にありつけるほど優しい業界ではない。ファッション誌や美容誌をもつ出版社を回り、仕事を求める日々が続いた。
「どうしたら仕事をもらえるだろう。スタッフとミーティングを重ねて重ねて。努力もしましたし、必死でした。コスメを自分で試して試して。自分なりの表現をどうすればできるのだろうか試行錯誤でした」
幸いにも、雑誌でコーナーをもつことができ、美容本が出版されると、これが売れた。
「自分の感情をうまく言葉に載せられたのかなと思います。前書きや後書き、エッセーなどの、私の生き方に関わる部分を楽しみにしている人もいるので。45歳で、3回出産して、ダルダルの身体でもこうやってやれば変わっていける、変わるんだよと伝えたい」
神崎の著書はとにかく具体的だ。新著「神崎CARE」でも、自ら実践して結果を出してきた神崎流のやり方を惜しげもなく披露する。さらに、節制や我慢を強いることもない。
「無理をしない、怠けること、許すこと、サボることを提案しています。食事も昼は食べます。トンカツ弁当だって大好き。食べるのは幸せなことだから。だから、私の本は美容ファーストだけという人向けではないんです。子育てで日々もくたくた、洗顔もおっくうだけど、ちょっと変わることで自分に期待できたり、自分が変わる可能性を感じられるようにすることを提案しています」
神崎が提案するのは、外面や内面だけでなく、デリケートゾーンケアやホルモンケアにまで及ぶ。著書には膣(ちつ)マッサージという言葉まで並ぶ。男性記者が質問するのはためらわれたが、それは間違いだった。
★男性向けも伝授
「今の時代、ホルモンケアやデリケートな部分にみんな悩んでいるんです。それはセクシュアルなものではなく、すごく大事なこと。自分の人生を豊かにするためにしっかりとケアをしたいと、みなさん思っているんです。健康と同じで何ら変わらない。私の実体験も伝えています」
美容とは、年齢との闘いのようにも思えるが、神崎は全く気にしない。
「例えれば、ロールプレーイングゲームですかね。武器商人から化粧品を買い、レベルアップしている感じかな。体重は20歳の時の方があったし、体脂肪は今の方が低い。確かに、細胞は劣化するけど、自分の価値観も変わるんです。20歳のころは色が白くてしわもしみもないことがきれいだったけど、今はしわもしみもあるけど、すごい豊かな表情をしていて、生き生きしているのが美しいという定義になっているんです」
最後に、なぜ神崎が評価されるのか、その理由をあえて聞いてみた。
「ありのままかな。母であり、働く女性であり、ネガティブな部分も話す、近所の美容の相談に乗るおばちゃん、お姉さんという感じが受け入れられているのかな。それと、私は自分らしく人生を生きたいと思っているし、自分が欲しいものは、自分でできる限り動いて、手にしていくしかありませんから」
最後に男性向けの美容アドバイスを聞いた。まずは<1>日焼け止めを塗り<2>洗顔し<3>クリームかジェルを塗る、だった。
「日焼けするとしみもしわもできるし。日焼け止めを塗れば、しっかりと洗顔もすることでしょう。毛穴の油脂を落とします。クリームは奥さまやパートナーのオールインワンの化粧水でもかまいません」【竹村章】
▼小学館女性メディア局チーフプロデューサーの兵庫真帆子氏
多くの女性たちが憧れ共感し続けているのは、神崎さんが常に女性たちの願望に寄り添って発信しているからだと思います。美容誌「美的」でオリジナルコスメをプロデュースしていただいたときも、ユーザー目線に立って、とことん追求してくださいました。その姿勢は、美容ページの監修でも、読者イベントのゲストとしても、どんな場面であっても変わりません。いつも女性たちが「美と幸せ」をどうしたら手に入れられるかを全身で考えて、全力で発信する。たゆまぬ努力を続ける神崎さんは、私にとっても憧れの女性です。
◆神崎恵(かんざき・めぐみ)
1975年(昭50)12月13日、神奈川県出身。93年、ヤングジャンプ「全国女子高校生制服コレクション」でグランプリを受賞し芸能界入り。00年にJリーガーと結婚し2児をもうけるも10年3月に離婚。アイブロウ、アイラッシュデザインの資格を取得。女性の美しさを応援するアトリエ「mnuit」を主宰しながら美容誌などで連載をもち、メーク講座などを手掛ける。14年にヘアメークアップアーティストの河北裕介氏と結婚。3人の息子は20歳、15歳、5歳。インスタグラムのフォロワー数は47万人。156センチ、42キロ。
◆「神崎CARE」(ワニブックス)
スキンケア、ボディーケア、ヘアケア、インナーケア、ボディートレーニングなど、神崎の基本ができるまでを、丹念に写真で追った1冊。肌のつくり方や髪の乾かし方などのHow toはもちろん、ボディービジュアルまでもオールカラーで表現。
(2020年12月13日本紙掲載)




