花組は2班に分かれ、人気スター水美舞斗(みなみ・まいと)は、芝居仕立てのショー「Senhor CRUZEIRO(セニョール・クルゼイロ)!」で、兵庫・宝塚バウホール公演に初主演。今日10日に初日(21日まで)を迎える。

 悲願のバウ初主演を「男役10年」の節目に得た。

 「気づけば10年…。正直びっくりなんですけど、素直にうれしかったですね。花組では瀬戸(かずや)さん、鳳月(杏)さんが(主演作を)されていて、新人公演を卒業したら、やっぱり次の目標でしたから」

 先輩の背を追い、たどり着いた。今回は、武器のダンスを生かした2幕、2時間に及ぶショー作品だ。

 「踊るのは一番好き。ショーは自分との勝負。引き出しを最大限に生かしたい。ブラジルの場面ではサッカーボールを使った踊りもあり、アルゼンチンタンゴも。リズムで自然に体が動く感覚になるように、お風呂では、ラテン音楽を聴きました。今回(の主演作)で、自分の殻を破りたい」

 インナーマッスルを鍛え、体の軸をしっかりと保つようにし、稽古に備えた。

 「側転や床技もあるので、外側の筋肉だけじゃ故障しかねない。限界との挑戦でもあり、パワーを爆発させたい。南十字星よりも高いところを目指して-という展開なので、私たちも、日々、今よりも高いところを目指したい。今回の経験を経て、次の大劇場では1回りも2回りも大きくなった姿で存在していたい」

 これまで、どこか遠慮がちな性格だった。

 「いつの間にか、人に譲っちゃっている部分があった。良くも悪くも変にまじめすぎたと思います。そこがおもしろみに欠けたのではないかと思います」

 稽古場での失敗をも恐れていた。だが、センターを任され、恐れが消えた。

 「自分で決めた枠にとらわれず、当たって砕けろ-ぐらいの感覚でいいと思えるようになってきた」

 水美が描く理想のスター像も今作とつながる。

「ショースター。ショーで輝ける舞台人になりたいです。柚希(礼音)さんや蘭寿(とむ)さん(ら歴代トップ)のような、キラキラとしたスターに」

 そう語る瞳は、「南十字星」のように輝いている。

 ◆バウ・ラテングルーヴ「Senhor CRUZEIRO(セニョール・クルゼイロ)! -南十字に愛された男-」(作・演出=稲葉太地氏) クルゼイロは、ポルトガル語で「南十字星」。1幕は、南半球を照らす星の名を持つ青年を主人公に、ダンスと歌を愛する男の生きざまをストーリー仕立てのショーでつづる。2幕は熱帯夜をテーマにしたラテンショー。

 ☆水美舞斗(みなみ・まいと)6月28日、大阪府生まれ。09年入団。花組配属。14年「エリザベート」新人公演で大役ルキーニに抜てきされ、15年「カリスタの海に抱かれて」で新人初主演。しなやかで軽やかなダンサーとしても頭角を現し、今回バウ初主演。身長170センチ。愛称「みなみ」「マイティー」。