“はるかぜちゃん”ことタレントの春名風花が、16歳の誕生日の4日、東京・下北沢トリウッドで行われた短編アニメ映画「こんぷれっくす×コンプレックス」(ふくだみゆき監督)初日舞台あいさつで、サプライズで誕生日を祝福された。

 シンガー・ソングライターの北村瞳が、映画の主題歌「こんぷれっくす」を歌う流れを覆して、声優陣に加え、観客をも巻き込み、全員で「ハッピーバースデートゥーユー」を合唱した。粋なサプライズに、1人だけ知らなかった春名は、目を丸くした。そして、ふくだ監督の夫の上田慎一郎プロデューサーに促されて、あいさつした。

 春名 ありがとうございます、本当に。呼吸困難になりました。本当にビックリしました。今日で16歳になって、結婚も出来るし、バイクの免許も取れる年齢になりました。本当は高校生になる時点で、いろいろなことが出来るようになってくると思うんですけど、僕の場合、早生まれなので遅ればせながら。何か…まだ実感はないんですけど、すごくうれしい16歳の始め方だなぁと思って感動しています。

 「こんぷれっくす×コンプレックス」は、わき毛ををテーマに描いた自主製作のフラッシュアニメ短編映画だ。わき毛に興味を持った中学2年生の小谷ゆいが、クラス一、わき毛が濃いことにコンプレックスを抱く武尾マサトに興味を抱き、2人の距離が接近していく青春物語だ。

 14年に声優陣の声を収録し、その声を元に、ふくだ監督がアニメーションを作る「プレスコ」という手法を取り製作。ふくだ監督が脚本とアニメ、夫の上田プロデューサーが編集を担当するなど少人数で作り上げた。15年から各映画祭を回り、埼玉・SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2016アニメ部門グランプリなど各賞を受賞して、この日の公開にこぎ着けた。

 ふくだ監督のおなかの中には、新しい命が宿っている。妊娠7カ月で、5月に出産予定の第1子は男の子だという。夫の上田プロデューサーは、本業の監督として長編映画の企画に着手しようとしている中、ふくだ監督が出産後、なかなか新作を作ることができなくなるからとアニメの編集に加え、公式サイトの作成、更新、ツイッターやフェイスブックでの発信など宣伝を一手に担い、この日の舞台あいさつの司会まで行った。ふくだ監督と上田プロデューサーの、夫婦の愛の結晶が、この日の初日舞台あいさつだった。

 会場の下北沢トリウッドは、興行収入238億円を突破した「君の名は。」の新海誠監督が、2002年(平14)2月2日に商業映画デビュー作「ほしのこえ」を初めて上映した、記念すべき劇場だ。「こんぷれっくす×コンプレックス」が初日を迎える中、同劇場では新海監督の商業デビューと「ほしのこえ」15周年を記念した特集上映が行われている。

 ふくだ監督は「去年『君の名は。』が、すごくヒットして。あそこまで行くのは難しいかも知れませんけど、新海誠監督の特集上映と一緒に上映できると夢が見られる」と笑みを浮かべた。【村上幸将】