俳優風間杜夫(68)が大竹しのぶ(60)主演の「リトル・ナイト・ミュージック」(来年4月、東京・日生劇場)でミュージカルに初出演することが30日、分かった。

 風間が何度かあったミュージカル出演の依頼を断り、封印した理由は恩師の劇作家つかこうへい氏の戒めだった。「熱海殺人事件」「蒲田行進曲」に主演したつか門下生だが、つか氏に「日本で最も踊ってはいけない役者」と言われたという。「若干リズム感がないからでしょうか。とにかく踊れないんです」。

 つか氏には「顔で踊っていればいい。踊れそうな雰囲気だけで、そのまま続けると、相当踊れるのではと、思わせるところでやめておけ。本当に踊るとばれるから」とくぎを刺された。「つかさんにダンサーでなく『ガン(顔)サーだ』と呼ばれた」と苦笑する。

 封印を解いたのは、「リトル-」にダンスがなく、27年ぶりに大竹と共演することが理由という。つか氏原作の映画「青春かけおち篇」などで共演したが、舞台は初めて。「会うと『早く一緒に舞台をやりたいね。お互いにおじいちゃんとおばあちゃんになっちゃうよ』と言っていた。若い頃から天才的にうまい女優と思ってました」。

 「リトル-」はイングマール・ベルイマン監督の映画「夏の夜は三たび微笑む」に着想を得たミュージカルで、米トニー賞7部門を受賞した。風間は、大竹演じる女優とかつて恋人関係にあり、18歳の若妻がいる弁護士役で、数曲歌う。「歌い上げるのではなく、せりふの延長線上の歌なら、相手がしのぶちゃんですから、私も何かを表現できるのでは」と不安はない。【林尚之】