芸能人と報道陣は持ちつ持たれつの関係だ。芸能人からすると、自分の宣伝になることは報道してほしいけど、プライベートなどは詮索しないでほしい、というのが本音だろう。

 元子役の俳優須賀健太(22)の、初めての写真集発売イベントを取材して、芸能人の発言を巡る「需要と供給」を考えてみた。

 須賀といえば子役時代から大活躍。芸歴20年のベテランだが、写真集の発売は初めてとあり、この日はとても緊張していた。イベント前に報道陣による「囲み取材」があるからだ。実は俳優にとって、1人で多数の報道陣を相手する機会はあまりないのだ。

 お客さんを招いてのイベントだと、事前に司会者からの質問事項が伝わっていることがほとんどだ。しかしこの「囲み取材」は、始まってみないと展開が読めないし、どんな発言をするかによって、どれだけ著作物をPRできるかが決まる。「おもしろいことを言わなければ」と、緊張してしまったのだろう。

 囲み取材が始まると、須賀は、NGなくニコニコと話していた。当然聞かれると予想していたであろう恋愛などの質問にも、「舞台が始まるのでしばらくお預けかな」「相手がいればそれで十分」などと、うまく答えていた。

 こうした質問は、俳優側からしてみれば、できるかぎり避けたいものだろう。事務所やイベント主催者が「プライベートに関する質問はご遠慮ください」などと注意喚起することもある。しかし、個人的には、差し障りない範囲で答えた方がニュースになるし、おもしろいと思う。

 昨年12月、坂口健太郎との交際が報じられた高畑充希が、主演映画の舞台あいさつ終わりに報道陣に囲まれた際、交際について「ん~、内緒です」と笑顔で答えたことがあった。

 どちらともとれる“意味深”発言は、報道陣の間でも物議を醸したし、ニュースとしてすぐさま日本中を飛び回った。と同時に、この日高畑が出演していたイベントの名前も、同じだけ露出したのである。

 報道側の「需要」と高畑側の「供給」が一致した瞬間だった。そういった意味で、この回答は秀逸だったと思う。