情けない話ですが、アイドルをはじめとする大人数グループを複数、連日取材していると、正直顔と名前を覚えるだけでも精いっぱいになってしまうこともあります。それでも先日、秋元康氏がプロデュースする劇団4ドル50セントの週末定期公演「夜明けのスプリット Vol.1」(東京・新宿KeyStudio)を観劇すると、「もう28人、覚えなければ!」と思わされました。

 社内には以前から同劇団を取材している別の記者がおり、私は生で見るのは初めてでした。某関係者に「絶対に見たほうがいい」と強く勧められ、さらに先月25日放送のフジテレビ系「2018 FNSうたの夏まつり」でのパフォーマンスも気になったため、以前「笑っていいとも!」の生放送が行われていた新宿アルタビル7階まで足を運びました。

 結論としては、演技自体はまだ粗削りな部分も多かったのですが、個性にあふれたメンバーたちにひかれました。劇団最年長のうえきやサトシ(28)が演じる謎のキャラ「レジェンドジュン」はアドリブ満載で、すぐにでもスピンオフ作品が上演できるのではないかと思いました。身長148センチの元AKB48長谷川晴奈(21)は、ダイナミックな演技で、エネルギッシュな帰国子女「サマンサ」を堂々と演じていました。

 中でも前田悠雅(まえだ・ゆうが=19)の存在感は光っていました。高校のボウリング部の部長「リツコ」役。劇中で、ある“告白”をするシーンでは、ジェスチャーも入れながら複雑な心境をうまく表現していました。

 前田は、モデルのようにスレンダーな体形や、歌・ダンスともに高レベルのパフォーマンスが特長。「FNS」でも、「グレイテスト・ショーマン」の再現企画後、パフォーマンスを振り返る渡辺直美(30)の後ろで比較的長い「尺」で映りこんでいたため、印象に残った視聴者の方もいるかもしれません。(ちなみに、さらにその後方にいた金髪がうえきやサトシです)

 クールな顔立ちですが、自他共に認める「バカ真面目」な性格で、大の負けず嫌い。日々の稽古に打ち込む傍ら、動画アプリ「SHOWROOM」での生配信を毎日欠かさず、ファンとコミュニケーションをとっています。ファンからリクエストされた楽曲を覚えてきて、後日の配信でアカペラで披露するという企画には、持ち前の歌唱力と真面目な人柄がよく表れています。「長崎は今日も雨だった」や「接吻」など往年の名曲を歌い上げたこともあるそうです。

 今月11日からは、「夜明けのスプリット Vol.2」が同所で上演されます。「Vol.1」とは演じる役やメンバーの組み合わせを変え、前田もリツコだけではなく、新たにサマンサ役にも挑戦。真面目な前田が、はっちゃけた性格のサマンサをどう演じるか気になりますし、劇団員たちは着実に経験を積んでいるようです。

 先に紹介した3人以外にも、関係者に劇団員1人1人のエピソードを聞くたびに、「キャラが濃すぎる!」と驚かされます。一般的な知名度はまだまだで、「Vol.1」では会場の席が完全に埋まることはほとんどなかったようですが、個性あふれる28人の挑戦は始まったばかり。独特のキャラクターを1人ずつ覚えていきながら、引き続き注目していきたいと思います。