史上初の50回出場を区切りとして、13年に紅白を卒業した北島三郎(82)が「特別企画」として5年ぶりに大みそかのNHKホールに帰ってきた。

冒頭、白組司会・嵐の櫻井翔(36)との対談VTRで、紅白の意味を「見てくれている方への新しい年への橋渡し」と語った。弟子の北山たけし(44)大江裕(29)が、ユニット「北島兄弟」として「ブラザー」を歌唱している途中で、バックステージが割れて登場した。

名曲「まつり」の歌唱アナウンスとともに、巨大なカブト武者のやぐらに乗った北島が、巨大うちわなどで盛り上げる出演者たちを見ながら「♪まつりだ、まつりだ~」と声を張り上げた。カブトが左右に開くと、しゃちほこに乗った北島が前方に飛び出す。最後は「これが日本の祭りだよ」の歌詞から「これが平成の祭りだよ」に変えて熱唱した。

紅白卒業後も、NHK側から毎年、水面下で出演を打診されたが断ってきた。それが今年は、並々ならぬ決意でステージに立った。「平成最後の紅白。昭和、平成と支えてもらった皆さんに恩返しがしたかった」。時代の節目に加え、18年に各地で起きた自然災害の被害者への激励への意味もある。「私の声で良かったら皆さんを元気づけたい。来年こそ災害のない穏やかな年にしたいと願っているんです」。

次男で、18年2月に51歳の若さで死去した作曲家大地土子さんへの思いもある。「旅立った寂しさは今も残っていますけど、『そんなこと、いつまでも考えていないで頑張れや』という息子の声が聞こえる気がします」。2人の弟子が歌唱した「ブラザー」は大地さんの遺作だった。北島にとっては、さまざまな思いに区切りを付けた紅白復帰だった。【松本久】