女優八千草薫(88)ががん治療のため4月スタートのテレビ朝日開局60周年記念ドラマ「やすらぎの刻(とき)~道」のヒロイン役を降板したことが9日、分かった。

八千草は一昨年12月に人間ドックで膵臓(すいぞう)がんと分かり、昨年1月に摘出手術を受けた。その後、抗がん剤治療などを受けて順調に回復し、8・9月には舞台「黄昏」に主演し、ドラマ収録にも参加した。しかし、今年1月に熱が出たため、病院で検査を受けたところ肝臓にがんが見つかった。当初、八千草は治療を後回しにして仕事を続けたいと希望したが、医師から治療に専念することを勧められ、降板を了承したという。1月末に退院し、現在は自宅で静養しているという。

この日、八千草は事務所のホームページにコメントを寄せ、「いくつかの仕事を降板、辞退または役降板させていただきました。関係者の方々にはご迷惑をおかけし、大変申し訳ございませんでしたが、ご快諾を頂戴いたしました。特に収録をまじかに控えておりましたドラマの関係者のみなさまには大変申し訳なく思っております。また、番組を楽しみにしていただいておりましたファンの皆様には体調を整えまして、より一層楽しんでいただける作品に参加できるように帰ってまいります。どうかお許しくださいませ」と謝罪した。

八千草は、長い女優業の中で初めてとなる降板に心を痛めているという。当初はがんという病名を出さなくともいいのではとの事務所側の申し出にも「包み隠さずにすべてを伝えたい」と話したという。

「やすらぎの刻(とき)~道」は、八千草に代わって、ヒロインを風吹ジュン(66)が務める。八千草は「道」で演じるしのと、前作でも演じた老人ホームの入居者、九条摂子の2役を務める予定だった。しの役は降りるが、九条摂子役としては出演する予定で、関係者によると、近く収録に入るという。