年内の活動で芸能界を引退すると公式ホームページで発表した歌手森昌子(60)が26日、埼玉・飯能市市民会館で、発表後初のコンサート「祝還暦コンサート~爆笑!コントでつづる昭和歌謡パート3~」を行った。

前半の歌謡コントではバラエティー番組でも人気を博しているキャラクター「ま~ちゃん」が登場。ソバ屋を営む父と小学2年生の娘が繰り広げる息の合ったコントの中に「好きになった人」「イミテーションゴールド」「雨の慕情」など昭和の名曲9曲をものまねも絡めて披露。会場は笑いに包まれ、歌唱中は手拍子や歓声が沸き起こっていた。

コントコーナーに続いては歌謡ステージ。ガラリと雰囲気を変えて振り袖姿で登場して「皆さまこんにちは。短い時間ですが最後まで楽しんでいって下さい」と明るくあいさつ。「はぐれどり」「なみだの桟橋」「愛傷歌」「哀しみ本線日本海」「立待岬」など新旧のヒット曲を熱唱した。

終盤には「私は歌うことしかできません。ですから皆さんの記憶に残るように心を込めて歌わせて頂きます」と話し「越冬つばめ」を歌唱。その後引退について涙を拭いながらファンに生報告を行った。

「本日は1曲、1曲の歌に心のこもった拍手を頂き本当にうれしかったです。昨日の報道で知られた方も多いと思いますが、私は今年いっぱいで歌の道から引退させて頂きます」。会場から「まだ早いよ」と惜しむ声が上がる中、「27歳で1度引退し、家庭に入り、離婚をして、20年も休んでいた私は自分の家族を守るために、生活のために戻ってきました。そんな私を笑顔で迎えてくださったファンの皆さんにはどんなに感謝しても足りません。それなのに何のお返しもできないまま、またいなくなります。本当に申し訳ない気持ちで一杯です。でも、私なりに考え抜いた結論なんです。私のわがままをどうか許してください」と深々と頭を下げた。

温かい拍手が沸き起こる中、「本日最後にお届けする歌は皆様に一番届けたい歌です。振り返れば私の人生もいろいろなことがありました。皆さんと同じように決して楽しいことうれしいことばかりでなく、雨の日も風の日もあって、時には心が折れた夜もありました。でもその度に、皆さまの優しさに助けて頂きながらどうにか今日まで歩んでくることができました」。

会場内にはすすり泣く声が響き、多くのファンがハンカチで目を拭っていた。「たった1度の人生。残された時間は大いに楽しんで生きていこうよ、という歌です」と紹介をし、最新曲「あなたの愛に包まれながら」を歌唱。ファンへの感謝の思いを全身全霊で伝えたステージは大きく温かい拍手に包まれながら幕を下ろした。

森は現在、昨年10月から今年12月にかけ全国100カ所以上をまわるツアー中。「全国の皆様にこれまでの感謝を伝えたい」と、残された期間をファンのために全力で駆け抜ける決意だ。また、ツアーの終了後、引退日と決めている12月25日には東京都内にてラストコンサートを予定している。