演歌歌手森山愛子(34)が15日、新曲「尾曳の渡し」の舞台である群馬・館林市で初のコンサートを行った。「この曲と出会い、館林を訪れるのを楽しみにしていました。今日は皆さんの心にしっかりと届くように歌います」。約500人のファンにあいさつをすると、新曲や前作「会津追分」「約束」など9曲を歌唱した。

5月に発売した新曲は、オリコンの演歌・歌謡曲ランキングで初登場1位。約2カ月で約2万枚を発売し、YouTubeなどでのミュージックビデオ再生回数が33万回を突破している。これまでは「会津追分」のCD5万枚超、関連動画180万再生回が最大ヒットだったが、「尾曳-」はそれを上回る好ダッシュだ。「会津-」で森山を知った人たちが応援を続け、ご当地・館林の人たちの熱い応援もけん引。この日、須藤和臣市長(51)も駆け付けて「すばらしい歌唱力。地元での初歌唱に感謝します」と全面的なバックアップを誓った。

客席には栃木県内に住む母親(63)の姿もあった。公演前に楽屋を訪れ、ピーマンと新ショウガのぬか漬けを差し入れしたという。「私の大好物で、何よりものエネルギー源です」。

自称「かわいすぎない演歌歌手」の目標はNHK紅白歌合戦の初出場だ。「1日1日を頑張った結果としてたどり着きたい大きな舞台。出たいです」。アントニオ猪木のビンタをもらい、「闘魂の歌姫」のニックネームでデビューして16年目。母特製のぬか漬けとファンの応援を力に変え、約半年後には紅白初出場をつかみ取るつもりだ。【松本久】

◆森山愛子(もりやま・あいこ)本名・大森愛美。1985年(昭60)1月27日、宇都宮市生まれ。04年5月に「おんな節」で歌手デビュー。アントニオ猪木が名付け親で「闘魂の歌姫」がニックネーム。「会津追分」(17年)が今年10月開催の「日本作曲家協会音楽祭」でロングヒット賞に選ばれている。とちぎ未来大使。158センチ。血液型B。

◆館林市 群馬県南東部にある市。江戸時代には、徳川四天王の1人、榊原康政の城下町で、5代将軍徳川綱吉も城主だった。今年5月に「館林の沼辺文化」が文化庁から日本遺産に認定された。これは「尾曳(おびき)の渡し」の歌詞にある城沼などを観光資源としてアピールして認められた。また「世界一のつつじ」や「分福茶釜の茂林寺」でも知られる。面積は約61平方キロメートル。人口約7万6000人。