「蜜蜂と遠雷」で主演女優賞を受賞した松岡茉優(24)は、「原作の恩田陸先生が死ぬ気で書いた作品だと思うので、中途半端は絶対許されないと思ってやった。音楽だけを描いた作品を毎日撮っていたので、こんな華やかな場に立ててうれしい」。また、生演奏でステージを盛り上げた「スィングフェイス」と、受賞者ごとに異なるデザインの花束にも触れ「おもてなしの心がうれしい」と感謝する気配りをみせた。

作品では、クラシックの世界で再起をかける天才ピアニストを演じ、その演技力を存分に発揮した。恩田陸氏の同名ベストセラーは、豊かな音楽描写から映像化は不可能と言われていた難しい役どころだった。

「原作のファンの方は『活字を読んでいるのに音が聞こえてくる』と感じている。私もそう感じました。人それぞれの好みで思い描いている音楽を『こういう音楽です』と提示しなければなりませんでしたが、恵まれた作品でした」と振り返った。

ステージでは、昨年「万引き家族」で同賞を受賞した安藤サクラから表彰盾が贈られた。「万引き家族」で共演した仲でもあり、仲良くハグした。安藤は「茉優ちゃんのことは親戚のような気持ちで見ているので、うるっときました」。作品で天才ピアニスト少年風間塵役を演じた鈴鹿央士からは、花束が贈られた。

2人から盾と花束を受け取った松岡は「やっぱり映画って一期一会だなと。悔いのないよう一作一作挑んでいきたい」と話した。