血液のがんの一種である症候性多発性骨髄腫で、昨年6月に救急搬送されて以来、入院治療していた漫才師宮川花子(65)が16日、入院先の奈良県内の病院を退院した。投薬治療とともに下半身のリハビリを続け、この日は、病院玄関を自力で歩いて出た。

「次の1歩は自分で歩いて踏み出したい」。そんな思いから、すでに歩行器を着けて歩く訓練も重ねていた。関係者によると、玄関の手前までは車椅子だったが、リハビリゆえに筋肉痛もあったという自分の足で立ち上がり、相方で夫の宮川大助(70)の力を借りながらも、念願がかなった形だ。時間にして10秒ほど自力で立ち、歩いたという。

現在は、新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、外出自粛など、厳しさが続く中、弟子らの見舞いも控えられていたが、この日は複数の弟子の姿もあり、拍手で迎えられた。

花子は昨年6月に救急搬送された時点で、全身7カ所に腫瘍が広がっていたが、抗がん剤治療が奏功し消失。ただ、下半身の自由はきかず、昨年12月の会見には車椅子で臨んだ。以後は週末などに一時帰宅したり、趣味の裁縫番組収録には体調を見て参加するなどし、じょじょに体を慣らしてきた。新型コロナウイルスの感染拡大で、病床への配慮から、花子自身も退院時期を探っていた。

前々日の14日には抗がん剤治療も受けたが、その際にも「立ち、歩くリハビリをしていた」ともいう。漫才復帰へ向けた不屈の闘志が原動力になっている。

治療の経過もよく、今後は原則、月1回程度の通院治療を続け、自宅でもリハビリを継続する。当初の目標は「6月に漫才復帰」だったが、本拠地の大阪・なんばグランド花月など、各劇場は休止期間が続いており、劇場そのものの再開メドは立っていない。

それでも前を向く花子は「最終ゴールはNGKのセンターマイク」の信念を崩さず、最終目的地まで歩き続ける。【村上久美子】