歌手中澤卓也(24)が東京・北区の北とぴあさくらホールで約400人の観客の前でライブを行った。同時に有料でネット生配信する「ハイブリッドコンサート」と命名したスタイルで、生配信用のチケットは約800枚が発売された。当初は7月下旬に予定されたが、入場人数を制限したライブや無観客ライブの有料生配信はじょじょに広まっているが、同時に行う例はまだ少なく、音楽業界でも注目のステージとなった。

客席のソーシャルディスタンスを保つため、800人収容の同ホールの1階部分に前後左右1席ずつ空ける形で発券された。観客は声援や私語、中澤と一緒に歌うことが禁じられ、ロビーのグッズ売り場も、一定の距離を置いて並ぶよう配慮された。

4年目の飛躍が期待された中澤だが、今年3月以降、公式ホームページで確認できるだけでもコロナ禍によるコンサートやイベントの中止は18本、延期は21本にもなった。単独のステージは2月27日以来、約7カ月ぶり。1月発売の「北のたずね人」が演歌・歌謡曲部門で1位獲得の好スタートを切ったタイミングだっただけに、ファンの身近でキャンペーンができない戸惑いは大きかった。

それでも、弾き語りの動画配信やネットサイン会などを、白紙になったスケジュールを利用して積極的に取り組んだ。インターネットに抵抗感のあるファン層のために、自ら講師役となってネットサービスの利用方法を伝える動画も制作した。ファンもそれに応えるように、ネットによる「仕掛け」に参加。この日もステージ上の中澤にスマホが渡されると、生配信の視聴者からのメッセージが紹介された。中澤が「ネットだと声を出して応援できます」と読み上げると、客席からこらえきれずに笑い声が起こった。

約2時間のステージは「青いダイヤモンド」「東京タワー」などオリジナル曲に加え、尾崎豊「Forget-me-not」、高橋優「福笑い」などジャンルを超えた曲をカバーして「ミラクルボイス」の異名を存分に発揮した。一方で、アンコールになると、昨年末にのどを痛めて思うように歌えない時期があったことを告白。最後まで歌い終えることで回復を実感したようで「新しい中澤卓也のスタートになりました」と涙ぐむ場面もあった。

10月3日には東京・ティアラこうとうで、今回とは違うメニューでハイブリッドコンサートを行う。