今年から規定が変わった1人芸日本一決定戦、R-1グランプリの出場資格を失った芸歴11年目以上の芸人によるお笑いグランプリ「Be-1グランプリ」の決勝の取材に行ってきた。21日、東京・新宿の角座で午後5時から行われ、芸歴22年目のピン芸人、野田ちゃん(45)が優勝して賞金50万円を獲得した。

R-1グランプリの出場資格を失った芸人の“救済”として、R-1決勝前日の3月6日に「R-1ぐらんぷりクラシック」が開催されるが、過去に準決勝進出したことのある芸人の中から厳選されたメンバーばかり。参加することに意義ありのオリンピック精神で? R-1に出場してきた「Be-1グランプリ」の決勝出場者は知らない芸人ばかりだった。

その中で、「R-1ぐらんぷりクラシック」にも出場する、おぐ(44)は過去にR-1決勝に2回出場して最高3位。コンビのロビンフットではキングオブコントにも決勝進出経験がある。

過去のR-1優勝者の中山功太(09年)、山本まさみ(14年)、じゅんいちダビッドソン(15年)が審査員に名を連ねる中で披露した「R-1ぐらんぷり」ネタが最高だった。

「R-1の山」の頂上にたどり着いたおぐが、そこで倒れている中山と山本を発見する。おぐは「どうしたんだ。『芸能界の山』の頂上を目指して行ったんじゃないか」といぶかる。そして、芸能界の山へと続く道が“獣道”であることを発見するというシュールな内容だ。

そして、同じくR-1出場の道を絶たれながら、即席コンビの「おいでやすこが」として昨年暮れのM-1グランプリで準優勝したおいでやす小田が「M-1の山」の頂上近くにいるというネタ。審査員のお気に召さなかったのか、ファーストラウンド10位とファイナル進出はならなかったが、個人的には最高点をつけた。

記者にとって、おぐは普段は気にならないが“R-1の季節”になると見る芸人だった。おいでやす小田、ルシファー吉岡と共にひそかに「御三家」として注目していた。

そのおぐの皮肉たっぷりのR-1ネタ。過去のR-1の王者が、その後、なかなか大ブレークしないことを取り上げている。審査員の中山は「名前を出してくれてありがとう」。山本もクレープ店経営者として成功、芸人としても地道な活動を続けているだけに余裕たっぷりに笑いを見せた。

R-1優勝後も、着実な進歩を見せているじゅんいちは、本田圭佑ネタでブレークしただけに「R-1の山の道はサッカーに続いていましたわ」。そして「だけど、昨年の仕事はキャンプが9で、本田が1」とキャンプ芸人として活躍していることをネタに笑わせた。

本家のR-1は昨年が野田クリスタル、一昨年が霜降り明星の粗品と、コンビでM-1を制した芸人が優勝している。

芸歴10年目までに出場資格を変更したことで、今年の「R-1グランプリ2021」は、どんな芸人が優勝するのか。そんな楽しみを与えてくれた「Be-1グランプリ」の取材だった。