歌舞伎俳優中村吉右衛門(76)が28日夜に、都内のホテルで体調不良を訴え、病院に救急搬送されたことが29日、分かった。松竹が明らかにした。入院、療養中で、この日出演予定だった東京・歌舞伎座「三月大歌舞伎」の第3部「楼門五三桐(さんもんごさんのきり)」を休演し、松本幸四郎(48)が代役。同公演はこの日が千秋楽だった。

吉右衛門は救急搬送された28日、午後6時半開演の第3部に予定通りに出演した。関係者によると、出番を終え、ホテルに食事に向かったという。

「-五三桐」は、盗賊の石川五右衛門が南禅寺三門の上で、「絶景かな、絶景かな」と言う場面が見どころの芝居。観劇した人によると、吉右衛門の体調の悪さは感じられなかったとした。

ただ、今年1月の歌舞伎座公演では途中7日間を休演している。発熱などもなく、自宅療養で復帰したが、体調が万全ではなかった可能性もある。

昨年12月に配信されたデジタルマガジンの連載で吉右衛門は、同10月に「ある手術を受け」たと明かし、「影響が思ったより体に響いてしまい、大声を出すと息が上がり、立ち上がるのに苦労している」と記している。

5月の歌舞伎座「五月大歌舞伎」では第3部「八陣守護城 湖水御座船」に出演することが発表されている。