80年代から90年代を中心に新日本プロレスのリングアナウンサーとして活躍し、ナレーターとしても知られる田中ケロ氏(62)が、新型コロナウイルスに感染し、重症化して集中治療室(ICU)に入っていることが19日、分かった。所属の芸能プロダクションONE COLORが同日午前、発表した。

同社によると、7月31日にコロナ陽性判定を受けて、保健所の指導のもとで自宅療養していたが、8日に症状が悪化して病院に運ばれ、集中治療室に入り、現在は投薬により眠っている状態だという。長女のグラビアアイドル、タレントの田中絵瑠(28)次女の声優・田中音緒(24)ら家族も直接の接触は出来ておらず、医師からの電話で定期的に経過報告を受けている状況だという。

田中氏は愛知県出身で、1980年(昭55)に新日本プロレスに社員として入社し同年、リングアナウンサーとしてデビュー。独特の抑揚を交えた甲高い声の選手コールに、「時が来た」など試合を盛り上げる前口上を絡めて人気を集め、日本を代表するプロレスのリングアナウンサーに上り詰めた。06年に同社を退社後もフリーで活動を続け、シュートボクシングやアントニオ猪木氏の興行などでリングアナウンサーを務め、そのキャリアは40年以上に及ぶ。

プロレス以外にも、12年のAKB指原・乃木坂終結宣言イベント、ももクロ男祭り2012、13年の乃木坂46真夏の全国ツアーFINALや中山競馬場のジョッキーイベント、日本ダービー騎乗ジョッキー紹介など芸能をはじめとした各種ビッグイベントでも美声を響かせた。17日には、オンラインイベント「田中ケロとカンパイ! チャンピオンベルトの思い出を語ろう!」を28日に開催すると発表したばかりだった。

20年4月8日には、自身のツイッターアカウントで「自分も含め、絶対に負けられない、人間vsコロナ史上最大の決戦に挑んでいる皆さんにエールという意味も込め、この闘いの前口上やってみました」とツイートして動画を投稿。その中で

「突如、現れし史上最大、最強の敵。日本が、世界が1つとなり戦いへ挑む…その時が来た! 己を守り、愛する者を守るため、全てが力を合わせてつかみ取る、コロナからの完全勝利。さぁ、みな、決戦だ! 人間は絶対に負けない! 人生を懸けた時間無制限一本勝負を行います!」

と力強くコール。その上で「長い闘いになるかもしれませんが、必ず、この闘いに勝ちましょう」とコメントしていた。

同社は「田中ケロのファンの皆様、関係者の皆様には大変ご心配をお掛けしますが、1日でも早い回復を一緒に願っていただけますと幸いです」とした。