「ドライブ・マイ・カー」の濱口竜介監督(43)が、自身初の最優秀監督賞を受賞した。優秀監督賞受賞も初で、同監督は「ありがとうございます。まぁ…フラフラします」と感激した。その上で「11年前の今日、地震、津波、原発事故がありました」と東日本大震災について言及した。

濱口監督は、東日本大震災で津波の被害に遭った被災者にインタビューした映画「東北記録映画三部作」(酒井耕氏と共同監督)「なみのおと」「なみのこえ 新地町 気仙沼」「うたうひと」を11年から13年まで製作した。そのことに触れ「震災が起きてから2年ほど、ドキュメンタリーを作っていました。いろいろな形で被害に遭われた方たちが示してくださった、力強い生きる姿があって、こういう生命力を捉えていきたいと、その時、思った」と振り返った。

その上で「そのことが今、自分が監督をする基盤になっていると思います。皆さんと十分に関係があることか自信はないんですけれど、当時、お話を聞いた方には、こういうふうに、私はやっていますとお礼を申し上げたい。その結果『ドライブ・マイ・カー』という映画が出来た」と、取材した人々に感謝した。そして「1こ1こ、自分たちの1日、1日の仕事が未来を作っていくことなんだと思います。間違えることもあると思いますけれども、その度に引き返し、少しずつ今、いるところから進んでいくしかない。ほんの少しでもいい社会、世界にすると言うと、大げさですが、今、この場所からしか始まらない」と熱く語った。

優秀監督賞受賞者は、以下の通り。

白石和彌(「孤狼の血 LEVEL2」)

瀬々敬久(「護られなかった者たちへ」)

成島出(「いのちの停車場」)

西川美和(「すばらしき世界」)