先日、シンガー・ソングライターの岡村孝子(60)を取材した。年齢を確認して、初めて還暦を迎えていることに驚く。

前千葉県知事のタレント森田健作(72)がパーソナリティーを務めるFM NACK5「森田健作 青春もぎたて、朝一番!」(日曜午前5時30分)とニッポン放送「森田健作 青春の勲章はくじけない心 増刊号」の収録にゲスト出演した。

岡村は、19年に患った急性白血病についても、赤裸々に語った。「健康だけが自慢」だったが、イベントのリハーサルで3曲ほどしか歌いきれないことが重なり、さらに疲れが取れにくくなり、そして、肩が凝るようになったという。消化器内科の検査では異常はなかったが、母親に勧められ、再度病院を訪れ、血液検査を受けたところ、最終的には急性骨髄性白血病と診断された。母や娘、ファンに支えられた闘病生活を語ったほか、無菌室で寝たきりの入院生活で、6カ所も圧迫骨折をしたことなども告白している。

この無菌室での入院は、かなりつらかったようだ。窓もないため、暑いのか寒いのか、晴れているのか雨が降っているのか、季節の移り変わりも含めて、すべて、人から聞くしか知るすべはない。五感を研ぎ澄ますソングライターとしては、長い長い、入院生活だったようだ。それだけに、退院したときに感じた風の匂いは感動したという。よく、歌詞には「風のさえずり」などという言葉が出てくるが、岡村いわく、「初めて、風のささやきがわかりました」。昨日と変わらない今日が普通に訪れるという幸せを実感したという。

病気は完治し、昨年9月にはソロデビュー35周年記念&復帰コンサートを開催した。このコンサートを収めたブルーレイが5月18日に発売されるほか、コンサートツアー「OKAMURA TAKAKO CONCERT“T's GARDEN」も5月からスタートする。

岡村にとって、ソロになってからの代表曲に「夢をあきらめないで」がある。ラジオでも語っていたが、自身としては、失恋ソングとして作った楽曲ではあるが、いつのまにか、ファンも含めて、世間一般的には応援ソングとして受け取られている。病気を克服した今だからこそ、再びの人生の応援ソングを期待したい。【竹村章】