昭和の吉本新喜劇をけん引した元座長、間寛平(72)が18日、大阪・なんばグランド花月(NGK)で33年ぶりに座長として、新喜劇に登場。「めっちゃめちゃ、汗かいた。もう(衣装が)ベチャーってしとったから」と言いつつ、充実した様子で語った。

おなじみ、ステッキをセット中にぶつけながら現れ、内場勝則(61)辻本茂雄(57)らを相手にボケを重ねていく。終演後、内場や辻本、中堅の信濃岳夫(40)、若手の住吉大和(22)らと取材に応じ、寛平は「新喜劇は大阪の宝やから。本当に喜んでもらえるように、どうしたらええんか、毎日考えてます。今日は自由にさせてもらって、感謝です」と安堵(あんど)の笑みを浮かべた。

寛平は、吉本新喜劇の顔でもあった花紀京さんに師事。入団4年、24歳の若さで座長に昇任すると、故木村進さんら当時の若手とともに、新喜劇の黄金時代を築いた。今春、新喜劇のGMに就き、若手の育成に心血を注ぐ。その中で、自らが芯となっての上演となった。

うどん店を舞台に、寛平は内場の父役。地上げや、年齢差の恋をめぐるおなじみのドタバタ劇。「○○ちゅうもんや!」のセリフにひっかかり、寛平が「何屋? 注文屋?」とつっこむ。客席がわいて手ごたえを感じると、押せ押せで進めていった。

空気を読むのが芸人・寛平の真骨頂。台本では「アドリブで幅をもたせて30分設定」だったが、本番では62分上演となった。

寛平と同じ、花紀さんに師事した経験のある内場は「しかしまあ、なんとか1時間に終わってよかった…。みんなでドーンとこけて、なつかしかった。けども! 寛平さんがボケるたびに、おれらが目を合わせて(時間確認をして)ました」と苦笑しながら振り返った。

寛平自身も、その辺を「おれらの時代はコテコテというか、しつこいねん。芸が」と自覚。何度も同じボケをかぶせても、笑わせる。それでもマンネリ化させない間合い、セリフのしゃべり方こそが、芸の本質だ。

辻本も「そう! 長いねん、しつこいねん。分かってたんか」と言いつつも、「でも、それは寛平さんやからできる」と感心。これに、寛平は「今の子たちはスマートな笑い。のびのびやってくれたらええよ」と期待した。

こんな元座長3人のやりとりを見ていた信濃は「レジェンドお三方と一緒に…小学生のころ、テレビで見ていた新喜劇を思い出しました」。NGKで内場らとからんだ経験がなかった住吉は「あらためて、バケモノの集まりやな…と」と感服していた。

寛平座長の新喜劇はNGKで24日まで上演される。