18年の映画「新聞記者」などを製作した映画プロデューサーで、映画会社スターサンズ代表の河村光庸(かわむら・みつのぶ)さんが11日、心不全のため急逝した。72歳。13日、同社が発表した。「新聞記者」を手掛けた藤井道人監督が監督、脚本を務め、横浜流星(25)が主演した「ヴィレッジ」(23年公開予定)の撮影を5月末に終えたばかりだった。葬儀は近親者のみで執り行い後日、お別れの会が開かれる予定。

慶大経済学部中退後、94年に青山出版社を設立し数々のヒット書籍を手掛けた。映画出資にも参画し、08年にスターサンズを設立し社会の深層、問題を深くえぐった社会派の映画を世に送り出した。

政権を痛烈に批判した18年の「新聞記者」では、日本アカデミー賞で作品賞、主演男・女優賞で最優秀賞を受賞。19年の映画「宮本から君へ」(真利子哲也監督)では、出演者ピエール瀧の麻薬取締法違反容疑での逮捕・起訴を受け、日本芸術文化振興会が助成金交付内定後に不交付を決定すると、その行政処分の取り消しを求めた訴訟を提起。昨年も当時の菅義偉首相を描いた映画「パンケーキを毒見する」を製作した。

近年は体調不良で、昨秋も足の手術をしたが「映画を全力で作るために受けた。日本映画界に、まだない映画を、どんどん作りますよ」と意欲を示していた。志半ばでの死だった。

 

◆河村光庸(かわむら・みつのぶ)1949年(昭24)8月12日、福井生まれ。主な企画・製作作品は、菅田将暉主演の17年「あゝ、荒野」、18年「愛しのアイリーン」、長澤まさみ主演の20年「MOTHER マザー」、21年の「空白」など多数。