女優の野村昭子さんが1日に95歳で亡くなった。TBS系「渡る世間は鬼ばかり」や、テレビ朝日系「家政婦は見た!」などに出演。庶民的な味わいの名脇役として活躍した。

3月末には、こちらも名脇役として知られた俳優の山本圭さんが81歳で亡くなった。実力派舞台俳優でもあり、抑揚の効いたセリフで魅了した。近年では斉藤洋介さんや志賀廣太郎さんら、名脇役と言われた俳優が亡くなっている。

「脇役」とは、映画、演劇、ドラマなどで、主役を助け(助演)、引き立てる演技をする人を言う。物語が成立するために、主役同等になくてはならない存在である。能楽に由来する言葉である。能では主役のことを「シテ(仕手)」と呼び、そのシテの特性を引き出す重要な相手役を「ワキ(脇)」と呼んだ。

主役を引き立てながら、その演技力や存在感で人気となり、後に主役になった脇役俳優は数多い。脇役が主役に回る「スピンオフ(派生)作品」も増えている。主役級の大物が脇役となる場合も当然ある。その場合、「ゲスト出演」「特別出演」「友情出演」などと表示されることが多い。代表的な主役と脇役の関係をたどってみた(敬称略)。

◆加山雄三と田中邦衛 60年代の人気映画「若大将シリーズ」の名コンビ。主役の加山が学業優秀、スポーツ万能の若大将を、田中はライバルで三枚目役の青大将を演じた。田中はその後、ヤクザ映画などを経て、フジテレビ系「北の国から」で主役の黒板五郎を演じ、国民的俳優として独特の存在感を示した。

◆萩原健一と水谷豊 74年から放送された日本テレビ系「傷だらけの天使」で、探偵事務所の先輩後輩の調査員を演じた。水谷はテレビ朝日系「相棒」シリーズで、不動の主役・杉下右京を演じている。歴代、寺脇康文、及川光博、成宮寛貴、反町隆史らが脇をがっちり固めている。

◆田村正和と西村雅彦(現西村まさ彦) 三谷幸喜が脚本を担当し94年からシリーズ化されたフジテレビ系のヒットドラマ「古畑任三郎」の上司と部下。西村は、あまり役に立たない今泉慎太郎刑事を好演した。後に石井正則も刑事役で出演した。

◆織田裕二と柳葉敏郎 97年に放送されたフジテレビ系「踊る大捜査線」で、織田が青島俊作刑事、柳葉が上司の室井慎次審議官を演じた。シリーズ映画化され大ヒットした。柳葉の他、いかりや長介、ユースケ・サンタマリア、深津絵里、水野美紀ら豪華な脇役が出演。スピンオフ作品も製作された。

◆木村拓哉と堤真一 03年放送のTBS系「GOOD LUCK!!」で、パイロットの後輩、先輩を演じた。木村の人気だけでなく、堤の存在感が平均視聴率30・6%の原動力となった。ヒロインの柴咲コウのほかに黒木瞳、竹中直人、段田安則らが出演した。

◆堺雅人と香川照之 13年と20年に放送されたTBS系の大ヒットドラマ「半沢直樹」の部下と上司。「倍返しだ」の堺の熱演だけでなく、大和田暁常務を演じた香川の怪演が、平成のドラマ最高視聴率42・2%(13年、最終回)につながった。及川光博、上戸彩、市川猿之助らが出演した。

ちなみに西村雅彦、香川照之、堤真一は、日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞で「助演男優賞」を受賞している。いずれにせよ、脇役は名優ばかりである。【笹森文彦】