来年6月の退団を発表した宝塚歌劇団の宙組トップ真風涼帆が29日、大阪市内で会見し、在位5年7カ月、本拠地9作での退団に「もっと大きな愛でお返しできるよう最後の日まで頑張りたい」と誓った。

涙はなく晴れやかな表情で、恒例の結婚予定への質問にも「きましたね。最高ですっ。でも…ございません」と余裕の切り返し。相手のトップ娘役潤花とともに、同3月開幕の「カジノ・ロワイヤル~我が名はボンド~」東京千秋楽をもって退く。

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銀ラメのスーツに白い革靴は「金びょうぶに負けないように」。175センチ長身にノーブルさもあわせもち、下級生時代から期待を集めた「伝統的宝塚スター」としての本領を発揮した。

星組から宙組へ移り、17年11月にトップ就任。「トップはいつか終わりがある。つねに時期は意識していた」と言い、目安として「2022年を目標に歩んできた」。就任同時に退団カウントダウンが始まるのは、トップの宿命。覚悟を決めたが、コロナ禍で予定が乱れ、23年退団となった。

本拠地9作での退団は、近年では柚希礼音の11作、明日海りおの10作に次ぐ。これには「私の宝塚人生での宝物だなと思います」と感謝。「男役とは終わりなき道なんだなと、今あらためて思います」と言うと、表情を引き締めた。

「長い宝塚人生、立ち止まって逃げ出したくなることもあった。でも、立ち向かおうと思えたのは、応援してくださるみなさまがいたから。何度も救われ、導いていただいた。もっと大きな愛でお返しできるよう最後の日まで頑張りたい」

支えになった言葉には「今を生きる」をあげ、その理由は「私の宝物なので」と明かさなかったが、多くの支えに報いるためのスター街道を振り返った。

26日に宝塚公演を終えた「HiGH&LOW-THE PREQUEL-」「Capricciosa!!」は、LDHとのコラボ作で注目。同公演中に宙組メンバーに退団を伝えた。「涙する(組子の)姿にいとおしさを感じた」とも。

退団後の活動は未定とし、大喜利状態になった結婚予定の質問には「きましたね。最高ですっ! 気のきいたことが言えなくて申し訳ありませんが、ございません」と、会見場をさらに明るく照らす笑顔を振りまいた。【村上久美子】

◆真風涼帆(まかぜ・すずほ)7月18日、熊本県生まれ。06年入団。星組配属。新人公演5回主演。15年5月に宙組。17年11月、相手娘役に星風まどかを迎え同組トップ。昨年2月、2人目相手役に潤花を迎えた。身長175センチ。愛称「ゆりか」「すずほ」。

○…真風と同時退団する宙組トップ娘役の潤花はこの日午後、兵庫県内で会見。真風から勧められたロングドレスに、昨年の誕生日に真風から贈られたピアスを耳につけ「真風さんとの奇跡のようなご縁に感謝したい」と語った。昨年2月、真風から2人目相手娘役に迎えられ「このような私に居場所を作ってくださった」。コンビ初作品の初日に、添い遂げを誓ったという。前作公演前に真風から退団を告げられ、同時退団を願って実現。目を潤ませながら感謝を語った。