坂東玉三郎(72)が太鼓芸能集団の鼓童と組む「初春特別公演 『幽玄』」(1月5~28日、大阪松竹座)の取材会がこのほど、都内で行われた。

世阿弥が見た幽玄の世界を、「羽衣」「石橋」「道成寺」など能の代表演目を題材に表現する。玉三郎は「歌舞伎と定義することもできなければ、歌舞伎じゃないと言うこともできない。そんなことを考えずお客様に楽しんでもらうことが一番の目的。くくれないから楽しい」と話した。「くくれないものが好き」と言う玉三郎は「いつも新作を作る時、理解したい方を困惑させるものが多くて申し訳ないんですけど。くくれないものばかりでした」と笑った。

「幽玄」は、17年に博多座など、18年には歌舞伎座で上演された演目で、今回は大阪松竹座開場100周年記念として同劇場で初上演される。

玉三郎は「歌舞伎や舞踊をやってきたので、どう受け止められるか心配」としつつ「(舞台の間口が)小さくなる分、親近感が出るかなと思います」と話した。

そぎ落とされた美を表現する際に苦心することを聞かれると、玉三郎は「お客様に1度喜んでいただくと、それを取り外すのが怖くなる。怖さをなくしてゼロにするのが大変だと思います」とし、「例えば見えをする時、あんまり首を振りすぎると良くないと言われる。3回首を振ったところを1回にするのって大変ですよね。でも、1回の中に3回分のエネルギーを入れるという風に切り替えていかないといけない」と話した。