歌手石川さゆり(65)が22日、50周年記念アルバム「Transcend」の高スペック&高音質のSACD版(31日発売)の試聴会と会見を、都内のスタジオで行った。

会見中にWBC決勝で日本代表の勝利が決まった。石川は「もう今? 勝ったの? 勝ったの? 優勝したのね。おめでとうございます」。最後を大谷翔平投手(28=エンゼルス)が締めたと聞き「1点差を守り切ったのね。イチローさんの時もそうだったけど、なんかこう締めるべき、その時の人が締めて終わる。っていうことなんでしょうね。それはもう野球の神さまに選ばれる人ってことなんでしょうね」と喜んだ。熊本県出身と同郷の村上宗隆内野手(23=ヤクルト)が前日のサヨナラ打に続き、この日も本塁打を放ったことにも「本当によかった。最後だけだったかもしれないけど、うれしかった。いい仕事をしてくれたと思います」と誇らしげだった。

今回発売するアルバムは最高の音質を目指して制作された。ビッグバンドを従えてのジャズサウンドで「津軽海峡・冬景色」や「天城越え」など3曲、豪華ストリングスサウンドで「風の盆恋歌」など3曲の計6曲を収録。CDが2月15日、アナログ盤が3月1日に発売され、今月31日にSACD盤がリリースされる。

関係者によると、演歌・歌謡曲の歌手がSACD盤を出すのは初めてだという。通常のCDも8倍のスペックでマスターを生成しており、かなりの高音質だという。

CDの3080円(税込み)に対しオーディオマニア向けのSACDは6600円。専用の再生機が必要だが、マニアの間では石川ファンは多く、初盤は発売と同時に完売するとみられている。

「津軽海峡・冬景色」などは、バンド演奏のみならず石川のボーカルも同時にワンテイクで収録。

石川は「生の演奏での音を聞いて歌う高揚感と、スタジオで冷静になって歌う声とでは違うんです。すごくすてきな人と会った瞬間に、はぁってなるでしょ。私は、そういう動物的な歌い手。自分の頭と心の波動のままに声を出すタイプの歌い手なんです。すごいドキドキしてるときの気持ちと、冷静なときにうまく歌う時と合うかって合うわけがない。それが本当の歌だと私は思うんですね」と説明した。

さらにジャンル分けについても言及。一般的に石川は演歌歌手と称されることが多いが、「ウイスキーが、お好きでしょ」をリリースした際には、あえて名前を隠し、表明してもローマ字表記のSAYURIとした。

石川は「この曲もレコード店では演歌コーナーにあります。日本人は枠を決めるのが好きですよね。今回のアルバムでも、ビッグバンド、ジャズ、すてきだなぁって思いながらも、元と違うねって言われるのがとっても悲しくて残念で。どちらもすてきなもの。音楽は変幻自在。崩れるということと、変化していくのは違うこと。いろんな顔があるってことは、皆さんに理解していただきたいなっていう気がします」と語った。