宝塚歌劇団の現役最長トップ、宙組の真風涼帆と、相手娘役潤花らの退団公演「カジノ・ロワイヤル~我が名はボンド~」が17日、兵庫・宝塚大劇場で千秋楽を迎えた。

同日公演の終演後にはサヨナラショーが行われ、真風らは本拠地に別れを告げた。

退団公演の千秋楽と、その前日に設けられたサヨナラショー。幕開けは、トップ本拠地お披露目作「天は赤い河のほとり」からのソロ曲で幕開けた。初舞台作「NEVER SAY GOODBYE」、新人公演主演作「オーシャンズ11」など、後にトップに就いてからも主演した代表作からの楽曲も熱唱。ショーのラストは「NEVER-」の「ONE HEART」を、宙組メンバー全員を従えて締めた。

06年入団の真風は、175センチの長身で男役として恵まれたスタイル。加えてノーブルな宝塚らしい男役として、星組だった下級生時代から注目を集めてきた。15年5月に宙組へ移り、17年11月に同組トップ就任。「究極の男役」体現者として、その道を究めてきた。

この日もグラデーション系、グレー系、白系と複数のスーツを見事な着こなし。華美な衣装よりも難しいとされるスーツを何度も着替え、本拠地で男役最後の日を自ら彩った。

最後の大階段は、正装のはかまでおりた。「私1人では到底たどり着けなかったこの場所に、今、1人で立てている。皆さまのおかげです」と、大事を遂げた後のような柔らかな表情であいさつした。

今春18年目に入り、芸を研さんし、涙も流してきたこの大劇場。大階段から見えた最後の景色には「ここで何が見えるのか、何を感じるのか-と思いましたが、皆さまからの大きなお気持ち、絆、愛を感じ、目には見えないたくさんのものを信じる気持ちをいただき、感謝しております」と語った。

6回のアンコールにもこたえて登場し、満席の客席に向かい「こうして最後、皆さまと一緒に迎えると、寂しさよりも、前向きで幸せな気持ちでいっぱいです」と言い、拍手を送り続けたファンに感謝の思いを繰り返した。

また、宙組発足メンバーの寿つかさ組長も同時退団。サヨナラショー幕開けのあいさつは自ら務め、ショーでは宙組の代名詞的作品「シトラスの風」をセンターで熱唱。紫藤りゅうら退団者とともに「オーシャンズ11」の「Jump!」も披露した。

正装の緑はかま姿で最後の大階段をおりた寿は「すばらしい世界で最高の時間をいただき、出会ってくださって感謝します」。東京千秋楽へ向けては「最後の日まで、ダンディーに品よく、ユーモアを忘れずに生きていきたい」と笑顔で話した。

ショー、あいさつを終えると、真風の提案で「宙3本締め」でフィナーレ。寿組長の音頭で、「そら!」とあいの手の声を合わせ、本拠地に別れを告げた。

本拠地に別れを告げた後は、「カジノ・ロワイヤル~我が名はボンド~」の東京宝塚劇場公演が5月6日に開幕。同千秋楽の6月11日付で、宙組組長寿つかさらとともに退団する。

◆真風涼帆(まかぜ・すずほ)7月18日、熊本県生まれ。06年入団。星組配属。15年5月に宙組、17年11月、相手娘役に星風まどかを迎え同組トップ。19年、新人主演の思い出作「オーシャンズ11」主演。21年6月に2人目相手娘役に潤花を迎えた。昨年2月、自身の初舞台作「NEVER SAY GOODBYE」再演で主演。17年11月のトップ就任から在位約5年半、本拠地通算9作目で男役に別れを告げる。コロナ禍ではあるもののトップ在任5年7カ月は、平成以降では和央ようか、柚希礼音に次ぐ長期。身長175センチ。愛称「ゆりか」「すずほ」。

◆潤花(じゅん・はな) 9月19日、北海道旭川市生まれ。16年入団。雪組配属。2年目(17年)で新人公演初ヒロイン、19年宝塚バウホール作、東上作でも初ヒロイン。20年9月宙組。21年2月22日付で同組トップ娘役。真風の2人目相手娘役に。身長165センチ、愛称「じゅんはな」。