女優黒木瞳(62)が今も大切にする言葉と香りを明かした。映画「魔女の香水」(宮武由衣監督)が16日から公開される。このほど取材に応じ、10年以上前から心に留めている言葉と宝塚時代にさかのぼる香りへのこだわりを語った。
「魔女の香水」では「魔女さん」と呼ばれるミステリアスな香水店店主を演じた。夢に挫折した女性を香りと言葉で新たな人生に導いていく。その言葉は端的で真っすぐだ。「どんな人も天職がある」「変えられるのは未来と自分だけ」「どんなことも楽しむことから始めなさい」
演じていても、その1つ1つが印象的だったというが「共感というより、すごいなと。そんな言葉を言えるようになりたいとも思いましたが、よくよく自分を見れば、とても私には言えません(笑い)」。
実は言葉の力を感じたことはこれまで何度もあったが、特に強く、今も心に留めている言葉がある。
「考えは言葉となり、言葉は行動となり、行動は習慣となり、習慣は人格となり、人格は運命となる」
英国元首相マーガレット・サッチャーさんの名言だ。11年前、米女優メリル・ストリープ(73)主演の伝記映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」を見て知った。「感銘を受けました。何かをしようとする時、最初はいつも考えることから始まり、言葉にしなければならない。それが行動につながる。その過程で失敗することもある。それでも、もう1度考える。人生ってその繰り返しですよね」。
心に響く言葉には映画を通して出合うことが多い。「映画は情報の宝庫。生きる力になるセリフもあり、いろいろなことを教えてくれる。本当に奥深い。思わず書き留めてしまうこともあります」。
私生活では母親でもあり、さまざまな言葉でアドバイスをしてきたが、実は自信がないという。「その感じを言葉にするのは難しいのですが、今も自分自身がまだ自分の母親を抜くことができていないと思っているんです。何かあると『そうだ、あの時、母親はこういうふうに言っていたな、こういうふうにしていたな』と考えてしまい、自分はまだその域に達していないと思ってしまう。何かを教えるというよりも、自分が成長しなければいけないと感じてしまう」。
「魔女の香水」では香りも重要な要素だ。黒木も香りにはこだわりを持つ。芸能活動の原点となった宝塚時代にさかのぼる。初舞台が決まった時、姉から香水を贈られた。20歳だった。箱にはフランス語で「香水」を示す「Eau De Toilette」と記されていた。「その頃は香水というものをよく知らなかった。『Toilette』と書いてあるから、何でトイレで使うのかなと思いながら、プレゼントですから、箱に入れたまま大切に部屋にずっと飾ってました(笑い)」。ちなみに香水はシャネル18番だった。
「宝塚では当時、先輩方がそれぞれ自分の香りを持っていらっしゃった。だから自分の香りを見つけるため、いろいろ探しました」。宝塚在団中に出演した映画の撮影で訪れたシンガポールで、イヴ・サンローランの香水、リヴゴーシュに出合い、魅了された。退団まで愛用した。「今もその香りがすると、宝塚時代を鮮明に思い出します」。
退団後、再び香水探しを始め、数年後に見つけた。フランスのブランド、ロシャスの香水、ビザーンスだった。その名は東ローマ帝国の別称、ビザンツ帝国に由来する。以来、現在も愛用している。「家にいても使います。体の一部。香水って下着と一緒で肌に直接つけるでしょ。どこかエロチシズムを感じません?(笑い)」。
言葉と香りが、人生を彩り、支えている。【松田秀彦】



