モデルでエッセイストの小林千花(27)が、全国9店舗のホテルを運営する株式会社ファーストキャビンHDの取締役として広報、PRを担当している。東京の老舗「丸ノ内ホテル」の創業者一族に生まれ、明治学院大在学中からモデル、エッセイストとして活動。将来は自身のホテル経営を夢見る小林に聞いて見た。

昨年9月に取締役として入社した小林は「飛行機のファーストクラスをイメージしたカプセルホテルの形態です。だけど普通のカプセルホテルでも、ビジネスホテルでもない新しいスタイルで、リーズナブルな価格で上質な空間を提供しています」と説明する。

スーツケースが置け、2メートル10センチの立ち上がれるスペース。スペースはコンパクトだが大浴場、ラウンジとゆっくりすごすことができる。ビジネスマンの利用も多いが、武道館や東京ドーム、そして新宿が近い「ファーストキャビン市ケ谷」では女性客も多い。「コンサートや野球観戦のために来て、女性が安心して休める場所を提供しています。自分の楽しみにお金を使って、カプセルホテルの価格帯で泊まっていただければ。酔っぱらったおじ様が泊まるものという、カプセルホテルのイメージを変えて行きたいですね。ホテル業のサービスって目に見えないものなんで、私はPRという分野でイメージとか空間作り、ブランディングに力を入れていきたいと思っています」と話している。

ポストコロナ禍で宿泊業界は、大きな転機、チャンスを迎えている。「ビジネスで利用してくださる方が戻って、観光の方もコロナ以前よりも多くなっているのが現状です。うちの店舗も東京の愛宕山、赤坂、大阪の御堂筋難波などはビジネスの方が多いけど、羽田空港や関西空港は、ビジネス、観光で早い飛行機便を利用する方にもご利用いただいています」と分析する。

実家が東京駅そばの老舗「丸ノ内ホテル」。父親が3代目で、大学時代から雑誌『美人百花』の読者モデル、そしてホテル関連のエッセーの連載を持っていた。「祖父も父も、みんなホテルマンという家だったので、自然とホテルがすごく身近にありました。サービスをしてる人も、かっこいいなと思って見ていました」。

19年に東京・新国立劇場の舞台「MOTHER マザー ~特攻の母 島濱トメ物語~」で女優デビュー。「女優業は、一度出演してみて、皆さんのどれだけの努力と思いの上に舞台が成り立っているかを知りました。そして、自分にその努力ができるのかと、コロナ禍で自問自答していたんです。その時に、やっぱり自分のバックグラウンドだったホテル業で、新しいチャレンジをしてみたいと思いました」。

箱根の老舗「富士屋ホテル」で、実際に働いてみた。「現場で働いてみないと、絶対にいいホテルはできないと思いました。清掃の仕事をしたり、夜勤をすることで、お客さまが何を考えてらっしゃるのかを知るには現場が一番大事ということを学びました。自分でホテルやりたいという大きな夢はありつつも、ファーストキャビンという新しい形のホテルで働きながら学んでいます」と話している。

昨年、祖父が亡くなった時に改めて自身のホテル業に対する思いの深さを感じた。「ホテルを運営する仕事の魅力は、目に見えず、手元に残らないサービスとか空間というものを提供すること。人それぞれ受け取り方次第ということもあるんですけど、すごく価値のあることだと思います。コミュニケーションを通して、何かお客さまの感情を揺さぶられたらいいなと。それは女優のお仕事とも似てるなと思ったんです。誰かの心に何かを届けるサービス業は、エンターテインメント業とイコールなんだということも気づきました」と話している。

ホテルの業務をこなし、休みの時はモデル、そしてホテルに泊まりに行きエッセーを書いている。「すごく働いてるみたいですけど、すごく楽しいんです」。その合間に、将来自分が経営するホテルについて考えている。「私の夢は、湖のほとりに15室くらいのスモールラグジュアリーホテルを作ること。1泊50万円以上の審査制のホテルを作りたい。インバウンド(訪日客)でやって来る、海外の人がお客さまになりますね。10室は販売して、5室は不動産として販売するというところを構想しています。場所日光の中禅寺湖がいいかなと。東京、成田からも近い。温泉もあるし、東照宮もありますから」と夢を語っている。【小谷野俊哉】

◆小林千花(こばやし・ちか)1995年(平7)10月3日、東京生まれ。聖心女学院初等科、中等科卒。宝塚を目指し日本音楽高入学。明治学院大在学中からモデル、エッセイストとして活動。19年(令元)5月に舞台「MOTHER」で女優デビュー。155センチ。血液型O。