映画観客動員ランキング(21日発表)で4週連続1位とヒット中の映画「キングダム 運命の炎」(7月28日から公開中)。人気漫画の実写映画化第3弾で、迫力あふれる戦闘シーンが魅力のひとつとなっている。その戦いの“舞台”が兵庫・神戸市にあった。

OSシネマズミント神戸で17日に舞台あいさつが行われ、主人公・信が率いる「飛信隊」副長の渕(えん)を演じた神戸市出身の俳優、田中美央(49)が登場した。同作では同市北区の「白水峡」で撮影が行われており、ロケ地選定など撮影をサポートした神戸フィルムオフィスの土屋千佳氏も登壇。田中は約200人で埋まった満席の会場を笑顔で見渡した。地元での撮影を振り返り、現場でのエピソードや裏話などを明かした。

 

田中美央(以下、田中) ありがとうございます! お客さんめっちゃ入ってる。もう本当に、めちゃくちゃうれしいです。この(客席の)中にうちの親戚が4人いるんですけど、最悪4人だけやったら僕が降りていって「伍」を作ろうと思っていました。ところがもう200人隊のレベルです。本当にありがとうございます。

-司会(以下略) 神戸にお帰りなさいということで、ごあいさつを

田中 出身が北区有馬温泉の近くなんです。神戸は海の手のイメージがありますけれど、僕はキングダム用語で言うところの「山の民」でございます。中学1年生の頃、初めて映画を見に来たのがこの劇場でした。

-その舞台に立っていらっしゃる

田中 本当に今、震えていますけど、想像もできないというか。ここに立たせていただくこともそうですし。映画に登場させていただけるというのは本当に幸せです。そしてこうやってお集まりいただいたのはどれだけ幸せなことか。どうやって伝えて良いか分からんくらい、うれしいです。

-声優やナレーターもされていて、キングダムではアニメにも

田中 この先に出てくる汗明という、渕さんとは“真逆(まぎゃく)”の役で。大男でハンマーみたいなものを持って暴れ回る。アニメが先に決まって、映画のオーディションがあると聞いて。ご縁あって役をつけていただいて、本当にうれしかったです。

-神戸での舞台あいさつのご経験は

田中 初めてです。舞台あいさつ自体が2回目だと思います。映像デビューが遅くて、それまで舞台に出ていたんですけど。映画「日本のいちばん長い日」のオーディションを受けさせていただいて、拾っていただいたのが最初。今ここに立たせていただいていることが奇跡のような。

-いつも主役の隣で

田中 「右腕俳優」と言っていただいて、光栄なんですけど。とある監督に言われたのが「横に置いといても邪魔じゃないんです」。どういう意味やろ、と思ったんですけど、ありがとうございます! と。でも強みやと思います。一番良いポジションに置いてもらえる。

-土屋さんはキャストの皆さんをサポートされている。神戸フィルムオフィスは神戸での映画撮影をサポートする団体で、町の活性化や誇りを高めようという意味もあるんですね

土屋千佳氏(以下、土屋) わが町が映画の撮影地になったということを市民の皆さんに知っていただいて、さすが神戸と思っていただけるのがいいなと思っています。今回は白水峡という場所なんですけど、ご存じですか?

田中 もう子どもの頃から。小学校の遠足で白水峡に行ったのを覚えています。

土屋 白水峡は有馬温泉の奥から西宮市にかかる市境にある六甲山系の一部です。花こう岩が風化されてできた岩山で、その一体を白水峡といいます。

-遠足で行かれたんですか

田中 有馬からすぐなので。バスで行ったんじゃないかな。でこぼこの岩が砂漠みたいな風景。子どもの頃に連想したのは、スター・ウォーズのタトゥイーンという星に似てるな、と。友達と「R2-D2ごっこ」をやったりしました。ゆっくりと歩くだけなんですけど(笑い)。

-オーディションや決まったときの心境は

田中 どの100人隊チームかは分からなかったので、まさか自分が信の元でとは思っていなくて。今でこそ渕さんに雰囲気似てると言ってもらえるんですけど、本人はノーマークやったんですよ。「ナンバー2の、おかっぱの渕さんですよ」と聞いて、「えー!」と、まさか。そこまでアクション得意ではないので。オーバーアクションは得意なんですけど(笑い)。受かるとは思ってなかった。そこから殺陣、練習して走り込みをして。決まってからが大変でしたね。白水峡で役に立ちました。

-白水峡のシーンでうれしそうな感じが伝わりました

田中 うれしいのは素というか、僕からしたらみんな芸能人。漫画と照らし合わせて「この人、合ってるわ」と思ったり。みんな撮影が進むにつれて、どんどん役に入ってきて。大沢さんは会う度に身体が大きくなって。僕はそんなに(身体の)大きさは変わらないはずなんですが、本当にオーラがすごい。

-土屋さんはロケも見守られましたが、白水峡はどんな経緯で決まったんですか

土屋 制作の方からキングダムの世界観にマッチした場所を聞かれた時に「白水峡がいい。合うに違いない」と思って。監督や制作の方をご案内すると、ここしかないね、と。佐藤監督には「なんでもっと早く教えてくれなかったんですか」と言われました(笑い)。

-背景に迫力があって戦いがより迫力あるものに見えます。すごいキャストがそろっていていかがでしたか? ずっと横にいらっしゃった

田中 (山崎)賢人君、いい人なんです。大好きになってしまいました。飛信隊の連絡網があるんですけど、今日も「神戸に代表で行ってきます」と送ったら「頑張ってこい」とメンバーからメッセージをもらいました。個人的に、映画見てすごく良かったとか、ちょっと悪いかなと思いつつ賢人君に送ったこともあるんですけど、律義に返してくださって。現場でも信と渕さんの関係でいてくれる。本当に屈託なく話してくれて笑ってくれて、めちゃくちゃ安心感につながりました。

土屋 現場で仲よさそうな雰囲気は遠目で見守らせていただいておりました。

田中 賢人君とも仲良くさせてもらったり、真壁(刀義)さんも。年も近いのでお互いいたわり合って。走るシーンとか、無理したらあきませんよ、と2人で言いながらやっていました。

-おふたりから締めのごあいさつをお願いします

土屋 神戸にも壮大な景色があると知っていただいて。渕さんや飛信隊の皆さんの活躍を、白水峡で撮影しているということを大きなスクリーンで何回も見ていただけたらいいなと思います。

田中 子どもの頃から通っていた映画館にこうした形でお招きいただけたことを本当に光栄に思います。僕のふるさとの神戸に世界に負けないくらいの誇れる場所があるということを、もっと僕自身も発信していきたいです。皆さんにもキングダムを6回7回と見ていただきたい。ぜひよろしくお願いいたします。