新人賞から10年、広瀬すず(27)が主演女優賞に輝いた。「遠い山なみの光」など、異なる時代を背景にした3作品で難役を演じ分け、「『やりたい!』と思った作品に恵まれました」と笑顔を見せた。
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「海街diary」の新人賞から10年。
「あれがスタートですね。あれからずっと(役作りの)正解探しの毎日で、あっという間でした。忙しさに追われてきたところもあるけれど、20代後半になって責任感も生まれ、性格もオープンになってきた気がします」
世代を超えて心を開くコミュニケーション力が、広瀬の成長を支えてきたようだ。
「ゆきてかへらぬ」では70代の根岸吉太郎監督のもと「ちょっと背伸びして」大人の女性に挑戦した。選考会でも「年齢からは想像できない巧みなやさぐれ感」が評価された。
転じて「片思い世界」では、杉咲花、清原果耶と同じ20代とトリプル主演。
「ぜいたくな時間でした。毎日3人で温度感を高めていく実感がありました」
「遠い山なみの光」は尊敬する俳優として名前を挙げる二階堂ふみ(31)との共演だった。「ふみちゃんのお芝居がずっと好きです。戦後のお話で、とても遠く感じていたんですけど、本読みの時、ふみちゃんのセリフを聞いていて、導かれるように悦子(役名)の姿が浮かんできました」
セリフ覚えは得意だ。
「写真に写したように脚本を覚えられます。お芝居中にヤベッと思ったら、ちょっとボーッとするとそのページが頭に浮かんできます。でも最近、若干その能力が薄れてきて、今は声に出して耳から入れることで補っています」
順風のように見えて苦しい時期もあったと言う。3年前の「流浪の月」。
「なんか、自分がポワッと小さくなった気がして、李(相日)監督にぼろかすに言われて、それが全部的を射ていて苦しかった。あれで、吹っ切れたんですかね。悩むことをあきらめたというか、型にはまるのをやめたら、楽しくなってきた」【相原斎】
◆広瀬すず(ひろせ・すず)1998年(平10)6月19日、静岡県生まれ。姉広瀬アリスが専属モデルを務めていた雑誌のイベントで、姉の所属事務所社長から声をかけられてデビュー。「海街diary」「ちはやふる」シリーズなどの映画の他、19年にはNHKテレビ小説「なつぞら」のヒロイン。14歳までバスケットボールに打ち込み、23年バスケW杯のスペシャルブースターを務めた。
◆昨年「九十歳。何がめでたい」で主演女優賞の草笛光子(92) 広瀬すずさんへ。このたびは日刊スポーツ映画大賞主演女優賞おめでとうございます。お芝居でご一緒したことはありませんが、クリクリとかわいらしいお顔とは裏腹に、どっしりと芯の強いお芝居をされる方だなと感じています。これからますます深みのある女優さんになられることと思います、楽しみにしています。
◆ゆきてかへらぬ 駆け出しの女優、長谷川泰子(広瀬すず)は天才詩人の中原中也(木戸大聖)、著名な文芸評論家の小林秀雄(岡田将生)の2人と出会う。才能あふれる若者たちの恋愛と青春を描きながら、後戻りすることのない3人の生き方を追いかける。
◆片思い世界 東京の古い一軒家で美咲(広瀬)、優花(杉咲)、さくら(清原)は一緒に穏やかな日々を12年過ごしていた。だが美咲には、気になる人がいた。強い絆で結ばれている3人だったが、全員が誰にも言えない片思いを抱えていた。
◆遠い山なみの光 日英の両親のもとに生まれたニキ(カミラ・アイコ)は大学を中退して作家を目指し、長崎で原爆を経験した後に渡英した母悦子(広瀬すず)の半生を作品にしたいと考える。悦子は訪ねてきた娘に、口を閉ざしてきた過去の記憶を語り始める。



