「フジテレビの復活には、何年かかるの?」。長年、フジテレビを飯のタネにしてきたので、よく聞かれる。
平成の初めに“民放の雄”と呼ばれたTBSが「損失補てん」「坂本弁護士のビデオ問題」と不祥事を連発。「報道のTBS」は大きなダメージを受けた。それでも「ドラマのTBS」は奮闘を続けた。それでも傷が完全に癒えるには、30年近くかかった。
フジテレビは、ここ10年の間、視聴率がジリジリと下がり続け在京民放4位の座に。そして昨年の中居正広氏と元女性アナウンサーのトラブルをきっかけに、スポンサー離れ、10時間半会見、経営陣交代と激震に見舞われた。
出直しを図ったところで、4月期のドラマ「夫婦別姓刑事」にダブル主演した佐藤二朗(57)と橋本愛(30)のトラブルが報じられた。昨年の中居正広氏と元女性アナウンサーのトラブルで対応が遅れた同局は、いち早く弁護士に依頼。佐藤によるハラスメントと断じて対応したが、泥沼の様相を呈してきた。
佐藤はSNSでフジテレビに対して「僕は心から、もうフジとは関わりたくないです」と決別宣言をした。佐藤は、フジテレビで2018年(平30)から21年(令3)にかけてレギュラー放送された「超逆境クイズバトル!! 99人の壁」でMCを務めた。味のある役者として福田雄一監督作品の常連で人気があった佐藤だが、同番組のMCに抜てきれたことで人気の幅を広げた。「夫婦別姓刑事」はフジテレビの連続ドラマで初の主演。ちなみに、橋本もフジテレビの連続ドラマ主演は初めてだ。
今回の騒動で得をしたものはいない。佐藤、橋本、そして何よりもフジテレビだ。ダブル主演の2人を守れなかったこと。昨年の騒動の影響か「あつものに懲りてなますを吹く」かのように、いち早く弁護士を導入しての問題解決。出演者の思いに寄り添うことなく、自ら問題解決を目指さずに第三者に委ねてしまった。プロデューサーは何のためにいるのか。トラブルが大きくなる前に解決できなかったのか。
テレビの世界は、世帯視聴率から個人視聴率へと指標が変化。数字よりも“試聴質”が問われるようになったきた。その一方で、TVer再生やネット配信を狙って、ドラマの数が増えた。多少、数字が悪かろうと、ネット配信の回数を積み重ねるためにドラマ枠が増えていった。
速報性、映像を武器にニュースでも、映像作品でも世の中を圧倒的にリードしていたテレビは、ネットの時代になって、その優位性を失った。免許事業で電波を持つことを許されたテレビ局だけにあった特権がなくなった。スマホひとつで誰でも、映像を発信できる時代になった。(ペーパーレスが進む時代で、ヒト様の心配をしている場合ではないのだが、そこは許してほしい)。
フジテレビの復活を時代は待っていてくれるのか。「フジテレビの復活には、何年かかるの?」。その質問には、返す言葉が見つからない。【小谷野俊哉】



