都内の自宅で覚せい剤と大麻を所持したとして、覚せい剤取締法違反と大麻取締法違反(いずれも所持)の罪に問われた俳優加勢大周被告(38)の初公判が10日、東京地裁で行われた。丸刈り姿の加勢被告は起訴事実を認め、芸能界引退を意思表示した。06年以降、1週間に3、4回の大麻を使用し、自宅で大麻草27本を栽培していた。検察側は、懲役2年6月を求刑。公判はこの日で結審し18日に判決が言い渡される。

 加勢被告は丸刈り、グレーのスーツ姿で入廷した。検察は冒頭陳述で、加勢被告が高校時代に初めて覚せい剤と大麻を使用し、06年からは週に3、4回のペースで大麻を使用していたと指摘。また、5月から10月の間、都内の自宅で大麻草を27本栽培し、大麻の発芽直後には知人に写真付きメールで「芽が出た」と報告していたことも明かされた。加勢被告は涙をぬぐいながら冒頭陳述を聞き「間違いありません」と起訴事実を認めた。

 加勢被告は、04年に都内のバーで大麻を勧められ使用。以降、知人から購入し継続的に大麻を使用したという。「悩みや不安がかなりあって、一時でも楽になれればと思って使った」。覚せい剤については「高校生の時にちょっと使った」とし、今年6月に知人から「覚せい剤をお金に換えてくれないか」と言われて手に入れ、3、4回使ったことも明かした。

 加勢被告は91年の個人事務所設立で、旧所属事務所との間に独立騒動が起こり、芸名使用禁止裁判に発展した。01年には離婚も経験。「20年近く前のことをインタビューや共演者に言われ、1人で夜悩むことが多かった」とした。また、大麻栽培については「自分1人で暮らすときに癒やしを求めるには植物だと。他に植物を栽培していたのでそれと同じような気持ちで栽培した」と話した。

 今回の逮捕で兄と経営したプロダクションは解散。兄は、前職の看護師に戻った。加勢被告は都内のマンションを引き払い「現時点では、芸能界から身を引くと考えています。田舎の親元に戻ってやり直したい」と、引退の意向を明かした。情状証人の父清彦さんが証言台に立ち「(実家の)函館に呼んで、心身共に健康な状態に戻してあげたい」と話すと、再び涙を流した。

 検察側は「違法薬物への常習性が著しい」として懲役2年6月を求刑。弁護側は、今回の逮捕でドラマが放送中止になったことなどによる多額の損害賠償請求があることを明かし、執行猶予付きの判決を求めた。公判はこの日結審し、18日に判決が言い渡される。