昨年大みそかの「第62回NHK紅白歌合戦」の平均視聴率が2日、ビデオリサーチから発表され、第2部(午後9時~同11時45分)が関東地区で41・6%(関西41・9%)だった。前年比0・1ポイント減だが、仙台地区では6・7ポイント、福島地区7・5ポイント増など、東日本大震災の被災地では数字が急伸した。長渕剛(55)らによる復興支援企画の効果が出たとみられる。また、日本テレビ系「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」が、前年から数字を大きく伸ばした。

 第62回紅白のコンセプト=「東日本大震災復興支援」は、被災地にしっかり届いていたようだ。仙台地区は、第1部で39・4%と、前年比1・8ポイント増。2部は47・0%で、6・7ポイントアップした。福島地区でも第1部は45・7%で、同8・1ポイント増、2部は47・5%で、同7・5ポイントアップした。

 長渕は宮城県石巻市の小学校から中継出演した。鎮魂と祈りを込めて歌い、同時に「みんなが故郷に帰れる日が必ず来る」と熱いメッセージを発信した。福島への思いを歌に込めた猪苗代湖ズの箭内道彦は、歌唱前に「まだ何も終わっていない。福島を忘れてもらわないために歌いに来ました」と強い口調で語った。松任谷由実は「(みんなの)春よ、来い」を、目を潤ませながら歌った。レディー・ガガもニューヨークから「歌おうジャパン」と日本語交じりの歌を届けた。

 NHKによると、視聴者からは「今年の紅白は特別なものを感じる」「歌を聴いて元気づけられた」「被災地の方に向け、歌手の皆さんが一体となっている気持ちが伝わってくる」などの意見が寄せられたという。その上で、NHKはこの日、「全身全霊を込めた歌唱により、1つ1つのシーンが例年に増して感動的に伝わったと考えます」とのコメントを発表した。

 民放では、日本テレビ系「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」の第1部(午後6時30分)が、存在感を見せつけた。関東地区で平均視聴率18・7%(関西地区23・1)、第2部(午後9時)16・6%(同21・2)と大健闘。10年も第1部15・3%、第2部14・3%と、紅白の裏番組として高視聴率を記録していたが、それぞれ3・4ポイント、2・3ポイントアップした。紅白第2部の視聴率は関東地区で前年比0・1ポイント下がったが、「ダウンタウン-」の健闘もその要因の1つと言えそうだ。

 ◆紅白歌合戦第2部の平均視聴率41・6%が、11年の関東地区の年間最高視聴率になった。紅白放送前の最高視聴率は、日本テレビ系連続ドラマ「家政婦のミタ」最終回(12月21日放送)の40・0%だったが、歴史ある国民的番組の「紅白」が面目を保つ形になった。