<NHK紅白歌合戦>◇12月31日◇NHKホール

 「第64回NHK紅白歌合戦」の大トリは今回で紅白を卒業する北島三郎(77)が務め、感動のフィナーレを迎えた。

 サブちゃんが有終の美を飾った。天童よしみ、伍代夏子らが号泣して見守る中、「北島はこれで紅白を卒業させていただきます。ありがとうございました」。そして「ありがとう」を7回繰り返した。歴代最多50回出場という節目で紅白を引退する。

 この日は約6メートルの高さの特製竜セットに乗って代表曲「まつり」を絶唱した。会場には苦楽を共にしてきた雅子夫人がいる。最後の晴れ舞台を目に焼き付けてもらうため、初めて会場に呼んでいた。ステージでは長さ10メートルの竜の首が伸縮して会場に何度もせり出す。ゲスト審査員を見下ろすような感じは「まるで自分が竜神さまになったみたい」と笑わせた。

 「これからの時代は『聞かせる紅白』から『演出で見せる紅白』にしないといけない」。自身初の巨大セットで次代への提言を体現。今年のステージにはもういない。だが「何もしないとただのじっちゃんになっちゃう」と、これからも終着駅のない演歌道を歩み続ける。【松本久】