今回は10月2日に行われた凱旋門賞を振り返ることにしましょう。

今年は3年ぶりの現地観戦となりました。しかし、覚悟はしていたものの、円安の影響で航空券もホテル代もべらぼうに高いのには参りました。

温室のようなメディアセンター
温室のようなメディアセンター

旋門賞前日の土曜は、動線の確認も含めてパリロンシャン競馬場を訪れました。久しぶりで機械を使った馬券の買い方もすっかり忘れているありさま。

競馬では4000メートルの長距離戦、G1カドラン賞に勝ったキプリオス(牡4、父ガリレオ、A・オブライエン厩舎)のレースぶりが印象的でした。

今回は相手にも恵まれて単勝は1・7倍の一本かぶり。R・ムーア騎手の手綱さばきもあって案の定、1頭だけ次元の違う競馬となりました。

直線に向いて楽に抜け出すと、その差はぐんぐん開いて最後は20馬身差の圧勝。勢い余って内ラチ沿いから外ラチに向かって大斜行する愛嬌(あいきょう)はありましたが、堂々のG1・4連勝で長距離王者が確定しました。

そして、迎えた日曜日。今年はメディアセンターがパドックのすぐ脇に移動。プレス用の観戦場所は船のへさきの位置に当たるスタンドの3階で、移動にも手間取りました。

メディア専用の観戦スタンド
メディア専用の観戦スタンド

お昼までは弱いながらも陽も差していて天気は心配なさそうでしたが、1レースの前から雲行きが怪しくなって1レースと2レースの間にザッとひと雨。これだけだったらよかったのですが、凱旋門賞(4レース)のパドックが始まる頃に土砂降りに近い雨が降って、馬場は一気に悪化しました。

レースはみなさまご存じの通り。勝ったアルピニスタは6番枠から出て、すっと好位につける理想的な展開。これまで不良馬場の経験は1度しかありませんでしたが、他が苦にしただけ有利だったのかも知れません。

相手が1段と強化することを危惧して予想は△にしてしまいましたが、実に堂々とした競馬ぶりでした。

◎に推したヴァデニはよく追い込みましたが、半馬身差の2着。ヴァデニ陣営はレース後、すぐに23年の凱旋門賞への参戦を発表しました。

凱旋門賞、勝ったのはアルピニスタ!
凱旋門賞、勝ったのはアルピニスタ!

仏ダービー馬の凱旋門賞優勝は18年のソットサス(3歳時に3着、翌年に優勝)の1例だけですが、今年のヴァデニのレースぶりは見どころ十分。来年、無事に出走できれば、高い確率で連対を果たしてくれそうです(と書いておいて、自分で忘れないようにしなければ…)。

報道によるとアガ・カーン殿下はクリストフ・スミヨン騎手と結んでいた専属騎乗契約を解く考えらしく、来年は新たな鞍上でシーズンを送ることになりそうです。

レース後、勝者アルピニスタのジャパンカップ参戦が報じられましたが、現地で聞くと、その可能性はかなり低いとのことです。

(ターフライター奥野庸介)

※競走成績などは2022年10月7日現在

パリロンシャン競馬場に映える!
パリロンシャン競馬場に映える!