米国3冠戦線はG1ケンタッキーダービーと、2冠目のG1プリークネスSを終えて、あとは6月7日(土曜)のG1ベルモントS(ダート2000メートル、サラトガ)を残すのみとなりました。
5週間で完結する3冠レースの過酷さは、よく語られていますが、ケンタッキーダービーから中1週でプリークネスS、さらに中2週でベルモントSというスケジュールが確立したのは、今から約70年前のこと。それより前に遡ると、ケンタッキーダービーの翌週に連闘でプリークネスS、そして中3週でベルモントSという時期がありました。
20世紀前半の3冠馬の例で見ると、最初の3冠馬とされる1919年のサーバートンから1946年のアソールトまでの7頭は、ケンタッキーダービーと、その翌週に行われていたプリークネスSを連闘で勝利しています(ギャラントフォックスの1930年はプリークネスSが3冠の初戦に行われ、翌週にケンタッキーダービーの順で行われた)。
傑出した能力に加えて、心身共にタフでなければ3冠はならず、これは現在のスケジュールとなった1948年以降に誕生した6頭の3冠馬(1948年サイテーション、73年セクレタリアト、77年シアトルスルー、78年アファームド、2015年アメリカンファラオ、18年ジャスティファイ)にも共通しています。
ケンタッキーダービー馬のソヴリンティが回避して、ダービー組と新規参入組が激突した今年のプリークネスSは、ウンベルト・リスポリ騎手騎乗、マイケル・マッカーシー厩舎のジャーナリズム(牡、父カーリン)が直線入口で内外から挟まれる大きな不利をはね除けて優勝。1番人気で2着したダービーの雪辱を果たしました。
マッカーシー調教師にとってプリークネスSは、これが2勝目(2021年ロンバウアー)。イタリア出身でJRAでの短期免許による騎乗を経て、フランスや香港で騎乗したのち2019年から米国西地区を拠点とするウンベルト・リスポリ騎手は待望の米クラシック初制覇となりました。
ジャーナリズムは引退後の種牡馬入り先となるクールモア・シンジケートなど10の個人と法人による共有馬。2023年のファシグティプトン・ニューヨークサラトガ・イヤリングセレクトセールで82万5000ドル(約1億2000万円)で落札され、マイケル・マッカーシー厩舎に入厩しました。血統は父が年度代表馬のコディーズウイッシュなどを送るカーリン、母はG2のラカナダSなど3勝のモポティスムです。
西地区の最強馬を決める4月のG1サンタアニタダービー(ダート1800メートル、サンタアニタパーク)では最終コーナーから加速して直線で前を行くバエザ(牡、父マッキンジー)をとらえて優勝。1番人気を背負って出走したケンタッキーダービー(ダート2000メートル、チャーチルダウンズは、泥田のようになった馬場で一旦は先頭に立ったものの、その直後から脚を伸ばしたソヴリンティに交わされて1馬身半差の2着に終わりました。
ケンタッキーダービー2着馬によるプリークネスS制覇は2000年以降で初。直近の1993年プレイリーバユー以来、実に32年ぶりとなっています。
2冠を終了した時点で今年の米国3歳牡馬戦線はソヴリンティとジャーナリズム、それにケンタッキーダービーでジャーナリズムに迫る3着したバエザが、やや抜けた印象です。
ベルモントSには上記3頭に加え、ケンタッキーダービーをケガで回避したロドリゲス(牡、父オーセンティック)、ベルモントSの前哨戦となるG3ピーターパンSを最後方から差しきったヒルロード(牡、父クオリティロード)などが参戦予定。注目の一戦になりそうです。
(ターフライター奥野庸介)
※競走成績等は2025年5月22日現在
※次回の更新は6/6(金)です



